西武の韋駄天・若林楽人を新人王に推す 驚異的な走力でリーグトップ16盗塁

2021年05月17日 11時00分

若林楽人(左)はベースランニングも速い

【広瀬真徳 球界こぼれ話】今年のパ・リーグは新人王争いがシ烈だ。すでに5勝を挙げている楽天・早川、防御率リーグ1位で4勝のオリックス2年目・宮城の両左腕を筆頭に、47奪三振でリーグ3位の日本ハム・伊藤やロッテのドラ1左腕・鈴木らが続く。

 シーズンは長期戦。誰がタイトルを射止めるかを予想するのは早計だろう。それどころか前出候補はいずれも投手。今後は各球団の対策、研究が進み、これまでのような投球ができなくなる恐れもある。そんな状況に鑑みたうえで野手の新人王候補として注目しているのが「西武の韋駄天」こと若林楽人(23)だ。

 ドラフト4位ルーキーの快足外野手は17日現在で16盗塁。ソフトバンク・周東(13)や僚友の源田(12)ら球界を代表する足のスペシャリストを抑えてリーグトップに君臨する。

 若林の特徴はスタートの良さもさることながら「初速からトップスピードに乗る速さが桁違い」という点がある。先日、他球団の走塁コーチに聞くと「スタートを切った直後から次のベース手前までの速度がほぼ変わらない。だからべースランニングも異常に速いし、盗塁技術も日に日に進歩している。西武の他の長距離打者より扱いが厄介になってきたよ」と警戒感を示していた。

 そんな生来の走力に加え、相手投手のクセを盗む能力もたけていると聞く。周知の通り“足”にスランプはない。故障さえなければ新人王候補に名を連ねるのも時間の問題だろう。

 もっとも若林にも課題はある。四球が少ない点だ。7四球は日本ハム・西川(27)やロッテ・荻野(14)ら他球団の俊足1番打者と比べても極端に少ない。打撃好調が続けば問題ないが、シーズンが進むにつれて相手の警戒も厳しくなる。出塁できなければ自慢の足も封印される。不調時でも四球で出塁率を上げれば自身の盗塁数だけでなくチームの攻撃力アップにもつながる。前向きな気持ちで四球を奪う意識も培っていく必要があるのではないか。

 開幕から間もなく2か月が経過する。蓄積疲労もピークに達するはず。特に長いペナントレースに慣れていない新人野手は体調維持も容易ではない。それでも盗塁数を積み上げチームの勝利に貢献していけばおのずと新人王は見えてくる。若林には高い目標を掲げながら自らの武器を磨き続けてもらいたい。 

 ☆ひろせ・まさのり 1973年、愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。

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