まさに弱り目にたたり目だ。中日はライデル・マルティネス投手(24)、ジャリエル・ロドリゲス投手(24)、アリエル・マルティネス捕手(24)のキューバ勢3選手が東京五輪の野球競技出場をかけて6月から開催される米大陸予選に参加するため、5月下旬に離脱する。もし同予選で五輪切符を獲得でなければキューバは台湾で行われる最終予選に回り、それこそ五輪本番で決勝戦まで進むようなら8月13日のペナント再開まで最大で約2か月半も守護神のR・マルティネス不在で戦わなければならない。

 与田監督にとっても頭の痛い問題だ。「当初から(3選手の離脱は)分かっていたし、そこで救援陣をどうやって作り上げていくか」と言いつつも「思い通りには進まないこともある。一、二軍を含めて見ていきながら何かしらの形は決めていこうとは思っている」と渋い表情だ。

 今季はここまで救援陣の“第2のパターン”がうまく機能していない。代役守護神候補の筆頭だった木下雄がオープン戦で脱臼した右肩を手術して今季絶望。新型コロナの影響から来日及び一軍合流が遅れたR・マルティネスに代わって抑えを務めた祖父江も今季は0勝2敗5セーブ、防御率3・55で、54試合に登板して防御率1・79だった昨季に比べるとピリッとしない。福、谷元、鈴木らも不調に陥っている。

 R・マルティネス不在の間に誰を抑えに据えるべきなのか。チーム内では「安定感がある右の又吉(防御率0・63)か左の橋本(同0・00)のどちらかがやるべきだ」やら「又吉を抑えにすると今度は重要な8回を誰に任せるか。今は二軍にいる新外国人のロサリオか抑え経験のある佐藤が適任なのでは」と様々な声が飛び交い「先発の一角に期待されていたロドリゲスはもちろん、長打が魅力のアリエルの長期離脱も何気に痛い」との嘆き節も出ている。

 貧打に苦しみながら、借金4の4位で踏みとどまれているのはリーグ2位のチーム防御率2・90を誇る投手陣の奮起があったから。中日は“キューバ危機”をどう乗り切るかが浮沈の鍵となりそうだ。