西武のドラフト4位ルーキー・若林楽人外野手(23)が両リーグトップの9盗塁で韋駄天ぶりを発揮し、チームの懸案である1番定着にアピールを続けている。

「塁に出たら常に盗塁のチャンスをうかがって狙っています」と豪語するスピードスター候補生は駒大2年、3年の春秋4シーズンのうち3シーズンで打率1割台と低迷。同期の中大・五十幡亮汰(日本ハム2位)、独協大・並木秀尊(ヤクルト5位)の両外野手が2019年12月の侍ジャパン・大学日本代表候補合宿での50メートル走でそれぞれ5秒42、5秒32を計測するなど注目を集めていたのとは対照的だった。

 しかし、大学4年時、最後の秋季リーグで若林は打率3割1分、4本塁打、13打点、3盗塁と爆発。突然、長打力の開花した数試合を渡辺GM、潮崎編成ディレクターが立て続けに視察していた巡り合わせから、西武内での評価が急上昇し、ドラフト会場で4位指名が決断された。

 もちろん期待されての指名だったが、開幕から23試合で11試合に1番で起用されて盗塁王争いのトップに立ったのは“うれしい誤算”。源田(16年ドラフト3位)のように、獲得するために2年前から担当スカウトをつけていたわけでもない。

 関係者が「よくいえば自分を持っていて、プロ向きの性格。小、中、高、大学を通してずっとキャプテンを務めていたこともあると思う」と言うように、持っていた資質に若手が伸び伸びとプレーできる西武のチーム環境、首脳陣との出会いが結びついて1番・若林を生み出した。あとは、このチャンスを本人がものにできるかだ。