巨人は23日の広島戦(東京ドーム)に2―1で競り勝ち、3連勝を飾った。投打がかみ合い、カード初戦をモノにしたなか、この日から丸佳浩外野手(32)ら新型コロナの陽性判定で離脱していた4選手が一軍昇格。丸は肉体への負担軽減を主眼に912日ぶりとなる左翼で先発出場となったが、この突然の〝コンバート〟が思わぬ副産物をもたらす可能性も浮上している。

〝スガシロコンビ〟の独壇場だった。先発の菅野は鈴木誠のソロ一発だけに抑え、9回1失点の完投で2勝目。そのエースを援護したのは女房役の大城だ。5回に好投を続けていた九里からバックスクリーン右への特大2ランを叩き込み、揃ってお立ち台に上がった。

 この日はコロナで離脱を強いられた丸、中島、ウィーラー、若林の4選手が戦列復帰。その中でも不動の中堅手・丸は「5番・左翼」で先発出場となり、第1打席でさっそく右中間二塁打を放った。それにしても、丸を定位置の中堅ではなく左翼で起用した理由は何だったのか。丸は外野手部門で2013年から19年まで7年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞した名手。左翼を守るのは巨人では初となり、最後に先発出場したのは広島時代の18年10月4日の巨人戦(マツダ)以来だった。

 試合後、原辰徳監督(62)は丸を〝コンバート〟した理由を「やっぱり運動量という点でね。(中堅で先発出場した)元気な松原がいるので。守備範囲も含めながら。ゆくゆくは彼(丸)はセンターを守るでしょうけども徐々に」と説明。

 丸は今月上旬に無症状ながらコロナ陽性となり、10日間の入院生活を余儀なくされた。20日から二軍で実戦復帰したとはいえ、出場したのは3試合。指揮官は「隔離というのは、やっぱり並のことではないと思うしね。いくら本人たちが『大丈夫』と言っても、少し手綱を引くというんでしょうかね。ムチを入れるというのは適切ではない」と体調を最優先しての起用だったとした。

 今後も当面は負担を考慮しながら起用する方針だが、この丸の〝ユーティリティー化〟は新たな戦術となる可能性も秘めている。他球団からは「攻撃力を落とさず、守備を固めることにもつながる」との見方も浮上。今季の左翼手の〝本命〟は新助っ人のテームズで、水際対策のため来日が遅れた現在は二軍戦に出場しながら実戦感覚を養っている。

 ただ、そのテームズはメジャー通算96発をマークした一方で守備難を抱えており、20日の二軍戦でも左翼守備で平凡なフライを落球している。左翼を守れるのは松原や亀井、重信ら多数いるが、今のうちに丸が〝地ならし〟を済ませておけば、首脳陣としても「攻撃的守備固め」の手札が増える。残りは118試合もあり、選択肢は一つでも多いに越したことはない。

 当の丸は「場所は入れ替わりましたけど、スムーズに。しっかりと二軍で(左翼で)試合に出させてもらいましたし」と不安要素はなかったという。アクシデントから生まれた「左翼・丸」が、リーグ3連覇への新たな一手となるかもしれない。