ソフトバンクは「同率首位対決」となった20日の楽天戦(北九州)に6―4の逆転勝ち。文句なしのヒーローは本塁打を含む3安打5打点の活躍を見せた甲斐だったが、もう一人、輝きを放った選手がいた。

 4回に貴重な同点打を放つなど、今季初の猛打賞をマークしたアルフレド・デスパイネ外野手(34)だ。キューバが誇る主砲は試合前まで打率1割8分2厘、1本塁打、5打点と苦しんでいた。柳田をメジャー流の「攻撃的2番」に置く直近のオーダーとなってからは5番を担っているが、開幕からしばらくは6番が定位置だった。1割台に沈む大砲…。数字だけを見れば普通は冷たい視線を浴びせられるが、チーム内では温かい目が向けられていた。

 ここまで選んだ12四球はチームではダントツ(20日時点)。打棒が芳しくない中でチームに貢献しながら、自分の状態を上げようとする献身的な姿勢を周囲は評価していた。

 キューバ代表では「絶対的4番」。定位置ではないポジションに座りながら、欲を出さず「つなぎの意識」で貢献しようとする姿勢が打席に表れている。そんな姿にチーム内からは「決めにいかず、後ろにつなぐ意識が伝わってくる。自分の状態と置かれた立場を心得てベストを尽くしている」と背番号54の奮闘にエールを送る声は多い。好投手・岸から猛打賞を決めた6回、ベンチが大いに盛り上がったのは自然な成り行きだった。

 単独首位に返り咲いたソフトバンク。温かい目に見守られ、打棒復調の兆しが見えてきたデスパイネに勢いが出てくれば、一段と上昇気流に乗りそうだ。