異色の経歴を持つ注目の助っ人がベールを脱いだ。ソフトバンクのカーター・スチュワート投手(21)が、17日の西武戦(メットライフ)で一軍デビューを飾った。

 6点リードの9回に登板。先頭の愛斗をストレートの四球で歩かせたものの、西川を空振り三振、ブランドンを遊飛、鈴木を見逃し三振に打ち取った。直球の最速は153キロ。試合後は上々の初登板について「初めの打者には緊張していたが、一回落ち着いてからの投球は良かったと思う」と振り返った。

 スチュワートは2018年に米ドラフトでブレーブスから1巡目(全体8位)で指名を受けた好素材だ。それが前例のない日本球界挑戦の道を選び、翌2019年のシーズン途中にソフトバンクに電撃入団した。

 豪腕代理人・ボラス氏の助言もあった。ただ、同時に人の縁が大きかった。家が近所で偶然にも子供のころのスチュワートを指導した経験があり、今でも家族ぐるみの付き合いをしているのが、日本ではダイエー、楽天でプレーした、ソフトバンクのマット・スクルメタ駐米スカウトだった。日本球界の情報を十分に得た上で、自らが考え抜いての決断だった。

 入団1年目は日本の食事に全くなじめず、体づくりが重要な中で周囲が心配するほどの事態に陥っていた。ファーム施設での昼食では、白米と特別に調理してもらったチキンやフルーツを食べるばかり。そんな中でおいしさに目覚めたのが、栄養たっぷりの寮のカレーだった。今でも大好物でファームの昼食メニューがカレーの日を楽しみにしている。福岡での生活にもすっかり慣れてきた。昨年からは日本語の習得にも取り組んでいる。

 驚きの入団から現在までを振り返り「1年目は体づくりをして、2年目はしっかりイニングを投げられた。それが3年目につながっていると思う。多くの人に助けられて、体の使い方とかをやってきたので、ここに来られている」と周囲に感謝したスチュワート。

 さらなるレベルアップを目指すべく「とにかく体を強くして、いいピッチャーになりたい。まだ1イニングしか投げていない。今日は7―1の場面だったが、もっといい状況で投げられるピッチャーになりたい」と誓った。