辻監督も声荒らげ「ダメだって!」 若手競走過熱の西武で起こった “危険アピール”

2021年04月13日 05時00分

西武若手のヘッドスライディングが止まらない(写真は2年目・岸)

 故障禍の続く西武で若手、一軍半クラスの中堅には下克上の大チャンスが訪れている。

 5球団との対戦ひと回りを終えた西武は、8勝5敗1分けの成績。先週の対戦で3タテを食らった首位・楽天と1ゲーム差の2位タイにつけている。

 山川(左太もも裏肉離れ)、栗山(下肢の張り)、外崎(左腓骨骨折)と打線から中軸3人を欠きながら、代役の6年目・呉、ドラ1・渡部、ドラ4・若林がその穴を埋める活躍でチームを活性化させた。同じ若手アピール組の山野辺が負傷で抹消された先週も、6年目・愛斗がロッテ戦2試合で効果的な3本塁打、5打点を稼ぐ活躍。チームの危機を自身のチャンスに変えようと大暴れを見せている。

 辻監督は「チーム力として(主力の)みんなが帰ってきた時に、さらに強くなっているような気がする」と苦しいチーム状況の中で繰り返される下からの突き上げに目を細めているが、一方で看過できないオーバーアピールもある。

「ダメだって! ヘッドスライディングはするなと言っているのに。気迫じゃないんだよ」。11日のロッテ戦(ZOZOマリン)後、勝利の喜びの中にも語気を強めたのは、死球の影響で欠場した若林の代わりに1番に起用された愛斗の一塁ヘッドスライディングについてだった。

 西武では6日の楽天戦(メットライフ)で山野辺が2回の三ゴロで一塁にヘッスラを試み、左手親指を負傷。登録抹消を余儀なくされているだけに、この一時的にナインを鼓舞できても結果的にチームのためにならない危険プレーを禁止。しかし、アピールしたい気持ちが前に行く若手、後のない中堅にとっては故障のリスクを犯しても〝気持ちの見えるプレー〟を選択しがちだ。

 日本人として初のメジャー殿堂入りが確実視されているマリナーズ・イチロー会長付特別補佐兼インストラクター(47)は現役時代、故障リスクの高いヘッドスライディング、ダイビングキャッチを決して選択することはなかった。戦列離脱することなく、いかに質の高いプレーでチームの勝利に貢献するかに徹し続けたレジェンドの哲学があっての行動だが、西武の現状に置き換えても今はこのリスク回避の徹底が最優先される。

 これだけ故障者が続出している西武の現状で、後先考えずダイブを試みるのはチームにとっても大迷惑。本人にも得がない最悪の選択となる。

 もし、本気で故障離脱中のレギュラーからポジション強奪を狙っている若手、中堅がいるとしたら、徹底的に故障リスクを回避した上で、主力が帰還しても外せないほどのアピールをした者だけが、本当の意味で「世代交代」の扉をこじ開けることができるのだが…。

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