スコア以上に強さを印象づける会心の勝利で「札幌―仙台」遠征を無敗で締めた。ソフトバンクは11日、楽天戦(楽天生命)に2―0の零封勝ち。この日チームはエース・千賀滉大投手(28)の長期離脱に伴うローテ再編で、中継ぎ陣を総動員する「ブルペンデー」を今季初採用した。

 そんな中、若鷹投手陣が輝きを放った。先発を託された2014年ドラ1右腕の松本裕樹投手(24)が4回2安打無失点の好投。その流れに乗って、5回は2015年ドラ1右腕の高橋純平投手(23)がゼロでつないだ。6回からはベンチ入りメンバー最年少の田浦文丸投手(21)が快投。上位打線から始まる難しい局面ながら2イニングを1安打無失点に抑えて、4年目でうれしいプロ初勝利をマークした。8回はモイネロ、9回は守護神・森が締めて無失点リレーが完成。長距離移動を強いられた6連戦を4勝2分けの無敗で終えた。

 この日の勝利の価値は、工藤公康監督(57)の「今日は勝つか負けるかで、えらい違いだった」という言葉に凝縮されていた。前日は7点差を一時逆転されての引き分け。それだけに宿敵・楽天を相手にカード最終戦を制した意味は大きかった。

 2試合連続となる2ケタ安打の攻撃陣、零封リレーの投手陣をねぎらいつつ、指揮官がとりわけたたえたのが鉄壁の守りだった。「本当にすごかった。ナイスプレーの連続。今宮が3つくらいかな。ちょっとでも遅れたら内野安打という当たりもあった」。初回は鷹が誇る遊撃手・今宮健太内野手(29)が名手らしい無駄のない動きを連発した。1個目は緩いゴロにチャージしてジャンピングスローで先頭・辰己の出塁を阻止。さらに続けざまに、俊足の2番・小深田の三遊間への当たりを逆シングルでスライディングキャッチすると、そこから抜群の速さで一塁へ送球して間一髪でアウトにした。先発・松本の背中を押すとともにチームの士気を高めた。今宮は3回にも左翼前に上がった飛球に追いつき好捕。6回にも高く跳ねた難しいゴロを猛チャージしてショートバウンドで捕球して仕留めた。

 さらに指揮官が「周東、(中村)晃も大きなプレーをしてくれた」とたたえた好守があった。2回に一、二塁間への鋭い打球に俊足を生かして追いついた二塁手・周東佑京内野手(25)がスライディングキャッチ。慌てず正確な送球でアウトにした。4回は二死満塁のピンチで一塁手・中村晃外野手(31)が一、二塁間を襲った痛烈な打球に飛び込んで好捕。ベースカバーに入った松本に送って間一髪でアウトにした。

「みんなが守備で盛り立ててくれたことが投手の完封リレーにつながった。本当に今日は『守って勝った』という印象が強い」。工藤監督はホークスらしい「守り勝つ野球」で手にした1勝に、大きな価値を見いだしていた。