昨季の沢村賞左腕がまさかのKO劇だ。中日・大野雄大投手(32)が6日のDeNA戦(バンテリン)に先発し、満塁弾を浴びるなど6回を8安打5失点KOされ、今季初黒星を喫した。

 昨季はDeNA戦で2完封を含む3戦3勝、計25イニング無失点で防御率0・00を誇るなどカモにしてきたベイ打線に、この日は容赦なく打ち込まれてしまった。

 決して調子は悪くはなかったが、3回に桑原に適時打を浴び、先制点を献上。実にこれがDeNA戦では2019年9月以来、28イニングぶりの失点だった。さらに6回二死満塁で神里に右翼席へ2号を献上。グランドスラムの被弾は19年5月15日のDeNA戦(横浜)で伊藤光に打たれて以来、692日ぶりの屈辱となった。

 与田監督は「コントロールがちょっと今日は甘かったかな。大事に行き過ぎている印象。このところ打線も不調なので『何とか先制点をやらないように』という気持ちがだんだん投手にも出てくる。それが悪循環になったのかもしれない」と指摘した。

 竜のエース左腕は「6回まで状態は悪くなかった。3回のタイムリーを打たれてしまったが、自分の思うところに投げ切れていたと思う」と平静を装いながらも「最悪な結果になってしまった。次に対戦する時は必ずやり返します」と悔しさをにじませた。

 これでチームは開幕から10試合を終えて12球団で唯一、先発投手に勝ちがつかない異常事態。その悪い流れが中継ぎ陣にも伝染したのか、2点を追う9回に5番手で登板した鈴木が1イニングを投げ切れず2/3回で3安打2失点を喫し、途中交代。開幕連続無失点が6戦目にして途切れるなど、中継ぎ陣の疲労も懸念される状況だ。

 指揮官は「今日の雄大の投球は6回5失点なんで。ただ、5回までにウチが点を取れていれば…。たらればですけど、リズムができると思う。先発に勝ち星がついていないのは数字的に言われるけど、打線との兼ね合い。打線が1、2点を早く取れば、そのままの流れになるかもしれない。結果論ですけど、今のバランスの悪さというのが出ているのでは」と吐露する。