リーグV3と9年ぶりの日本一を目指す原巨人が、緊急事態に陥った。4日に丸佳浩外野手(31)、中島宏之内野手(38)、若林晃弘内野手(27)、ゼラス・ウィーラー外野手(34)ら主力4選手が新型コロナウイルス陽性となり、濃厚接触の疑いを含めた計7選手とスタッフらがチーム離脱を余儀なくされた。同日のヤクルト戦(東京ドーム)こそ2―1で逆転勝利を飾ったものの、目に見えないウイルスとの戦いは今後も予断を許さない。 

 この日、丸、中島、若林の3選手に加え、接触頻度が高かったと球団が判断した亀井善行外野手(38)、増田大輝内野手(27)、北村拓己内野手(25)の計6選手がNPB「特例2021」に基づき登録抹消となった。その後に球団による検査で陽性が判明したウィーラーも、近日中に抹消される予定だ。

 選手補充のためイースタン・楽天戦(仙台)を急きょ中止し、香月一也内野手(24)、秋広優人内野手(18)、立岡宗一郎外野手(30)の3選手を一軍に呼び寄せた。

 その〝代役〟たちの活躍もあってヤクルト戦には2―1で逆転勝利。球場には歓喜の輪が広がったが、チームは今後も主力を欠いたまま、苦しい戦いが続くことになる。

 もっとも心配なのは新たな感染者の発生だ。球団は丸、中島、若林の検体採取48時間前までの行動履歴を調べ、接触頻度から3選手(亀井、増田大、北村)を抹消しスタッフを隔離した。だがそこから漏れていたウィーラーの陽性が新たに判明したことで、チームスタッフを追加で隔離。今後もチーム内から感染者が出る可能性が否定できなくなった。

 また球団は陽性4選手の行動履歴、接触状況を管轄の保健所に提出。濃厚接触者の特定作業を依頼した。保健所から特定された選手は14日間の自宅隔離が必要となる。

 チームは6日から阪神戦(甲子園)、9日から広島戦(マツダ)と1週間の遠征となる。球団によれば5日に一軍の監督・コーチ、選手、スタッフへ全員へのPCR検査を行い、陰性を確認したうえで、遠征に出発するという。

 チームにとってはまさに大ピンチだが、その一方でプラス面もある。この日、控え組の広岡が決勝三塁打を放ったのを筆頭に、二軍から合流した立岡が好守でチームを救うと、香月も移籍後初安打となる特大の二塁打を放った。

「雨降って地固まる!」と宣言して試合に臨んだ原監督は逆転勝利に「動ずることなくね、『ワンチームで戦う』という気持ちを、また新たに強く持つということでしょうね」と危機を正面から受け止めた。

 ネット裏の他球団スコアラーも「主力やベテランがいない分、若い選手にチャンスが回ってくる。特に丸は今季ここまで打率8分7厘と絶不調だった。それでもこれまでの実績と格を考えれば、クリーンアップからは外せなかったのが、代わりの選手が活躍すればチーム力はむしろ上がるのでは」と警戒を強める。

 それでもスタートダッシュに水を差す、主力の大量離脱は最大の目標である優勝へ大きな障壁となる可能性もある。このピンチをどう乗り切るのか。百戦錬磨の指揮官の手腕に注目だ。