巨人の3年目左腕・高橋優貴投手(24)に飛躍の予感だ。1日の中日戦(バンテリン)に先発し7回114球4安打1失点(自責0)の好投。3―1で今季初勝利をマークし、チームに4戦ぶりの白星をもたらした。菅野智之投手(31)、井納翔一投手(34)と開幕ローテ投手が次々と離脱する中、踏ん張った「6番目の男」には〝竜倒〟への秘めた思いがあった。

 普段は穏やかな性格の左腕が吠えた。味方のエラーで1点ビハインドの5回二死二塁、敵主砲・ビシエドを118キロのスクリューで空振り三振に切って落とすと、鬼の形相でガッツポーズを作った。

 ピンチの後にチャンスあり。6回無死一、二塁で4番・岡本和が逆転の2点適時二塁打を放った。さらに女房役・大城が左前適時打で高橋を鼓舞。援護をもらった左腕は7回1失点(自責0)の好投で、チームに開幕第2戦(3月27日、DeNA戦)以来の白星をもたらした。

 原監督は「(高橋が)7回投げ切ったのは大きいね。非常にいいスタートを切った」と左腕の好投にうなずいた。二軍での最終テストを経てローテ6枚目に滑り込んだ背番号47は「もう絶対、点をやらない、ただそれだけだった」と気迫の投球を振り返った。

 東海大菅生、八戸学院大と進みドラフト1位で入団した高橋はプロ1年目の2019年から開幕ローテ入りし、5勝7敗の成績でリーグVに貢献。だが中日相手には0勝3敗と白星を挙げられなかった。2年目の20年は左ヒジのケガで出遅れ、登板はわずか8試合で中日との対戦はなかった。

 高橋にとってドラゴンズは特別な球団だった。「高校時代の(若林)監督が元中日の選手。自分にとって初めて触れたプロの世界というのは、監督から聞いた中日時代の話でした」(高橋)と、プロに憧れた自身の原点だったという。

 投手出身の東海大菅生・若林弘泰監督(54)は東海大、日立製作所を経由し、91年ドラフト4位で中日入り。ケガに悩まされ97年に引退すると、07年に同校の教員となり、09年から野球部監督に就任した。

 その若林監督率いる母校は今年のセンバツで8強入り。「すごくお世話になった方ですし、甲子園ベスト8は僕の高校時代だと考えられないような成績。後輩を見ていると僕も頑張らないと。ああいう先輩みたいになりたいなと思われないといけないので、そういう責任もしっかり背負ってやりたい」と左腕は気合を入れ直していた。

 プロで活躍することが若林監督への恩返しになる。プロ3年目初戦で初めて〝竜倒〟に成功した高橋は、この1勝をキッカケに飛躍の年にできるか、注目だ。