菅野よゆっくり休め――。リーグ3連覇を狙う巨人は30日の中日戦(バンテリン)に3―3で引き分け、セ首位に浮上。だが同日、エース・菅野智之投手(31)が「脚の違和感」のため登録抹消となった。軽傷で4月9日の広島戦(マツダ)での最短復帰を目指すというが、球団OBからは「完治させた方がいい」との声が上がった。


 開幕カードを2勝1分けと無敗のまま臨んだ中日戦で、巨人は先発サンチェスが7回2失点(自責0)の好投。中島の1号ソロ、坂本の適時打が飛び出したが、竜を突き放せず3―3で引き分けとなった。

 阪神が敗れたため首位には浮上したが…。試合前に衝撃が走った。エース・菅野が「脚の違和感」を理由に登録を抹消された。右腕はDeNAとの開幕戦(26日)で6回101球を投げ8安打3四球3失点で降板。球団によれば登板後に症状を訴えたという。

 原監督は「たいしたことはないんですが、大事をとってね。次の登板とかいろんなことを考えた中で、日数的なことも考えた中で、早めの方がいいだろうと」とあくまで軽傷とした。宮本投手チーフコーチも「来週金曜日には戻ってきます」と説明した。

 菅野の故障による抹消は、腰痛による2019年9月以来。背番号18はこの日、ジャイアンツ球場でキャッチボールなどを行った。

 もちろん開幕直後にエースが長期離脱となれば、チームの勢いに水を差しかねない。それでも巨人OBの一人は「焦って10日間で復帰して、再発でもしたら元も子もない。他のローテ投手が元気なウチにしっかり完治させた方がいい。ファームでミニキャンプを張るなど、下半身の土台をしっかり作った方が、長い目で見ればチームに貢献できる」と早期復帰に警鐘を鳴らした。

 その理由は今回の離脱は「なるべくしてなった」との思いからだ。メジャー移籍を目指し1月に渡米した菅野はオフにほとんど練習できず。キャンプでは「12月、1月の毎年ハワイに行っている貯金がないので、ランニングは抑え気味にしていますね。ある程度、痛手を負ってでもやっていかないといけないので」とムリを承知で調整してきた。

「多少は(体に)張りがある状態でマウンドに上がることになるでしょうけど、でもそれは目先のオープン戦の結果とかそういうことではなく、今シーズン通して上がるため」(菅野)と開幕に合わせるため、あえて追い込んできた。

 加えて今季からプレートの一塁側を踏み、カーブ、カットボール、ツーシームと配球を大きく変えた。納得いくまで練習を重ねた疲労はエースの下半身に蓄積してきた。

 腰痛に苦しんだ19年、菅野は「完治させようとしたらシーズンが終わる」と復帰と離脱を繰り返した。22戦11勝6敗としっかり貯金を作ったが防御率3・89は自己ワースト。リーグ優勝会見で「僕は何もしていない」と話すなど、納得できないシーズンとなった。

「ヘタをすれば19年の再来になる」(前出の巨人OB)。ここまでG先発陣は戸郷7回1失点、今村7回1失点、サンチェス7回2失点(自責0)と全員が結果を残している。果たして菅野と首脳陣の決断は…。