今季の〝原ジャイアンツ〟のキーマンはこの男だ! 自身初となる開幕一軍どころか開幕スタメンに内定した巨人・若林晃弘内野手(27)が、チーム内で存在感を発揮している。オープン戦では打率3割7分1厘、2本塁打、10打点と圧倒的な成績を残し、首脳陣に猛アピール。開幕DeNA戦(26日、東京ドーム)の2番打者の座をつかみ取った。そんな若林の急成長の裏には、ある出来事が大きく影響していた。

 オープン戦で「1番・梶谷」と「坂本、岡本和、丸」のクリーンアップをつなぐ「2番」を任された若林。両打ちで内外野を守れる〝超ユーティリティープレイヤー〟として重宝されると、首脳陣の期待にバットで応え、見事に開幕スタメンの座を勝ち取った。念願はかなったものの、プロ4年目野手は固い表情は崩さない。「アピールしなきゃいけない立場。気持ちは変えずに、自分の今までやってきたことをそのままシーズンでも出せればいいかなと思います」と、真剣な目つきで力強く目標を語った。

 それもそのはず。ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。昨季まではキャンプ、オープン戦で疲労による体重減で調子の維持に苦労。開幕をファームで迎え、悔しい思いを持ち続けていた。なんとか今季は「練習する体力とかも付きましたし、いい方向に行ってるのかなと思います」。

 体力的、技術的に急成長を遂げた若林だが、秘めた闘志に火をつけたのは、同学年の選手たちの存在。球団関係者は「山本(泰寛=阪神)に(田中)俊太(DeNA)と同学年の内野手が次々とチームを去っていき、若林本人にも『次は自分』という思いがあった。今年が最後ぐらいの気持ちでシーズンに臨んでいる」と話す。

 昨オフに金銭トレードで阪神へ移籍した山本や、FA梶谷の人的補償としてDeNAに移籍した田中俊は同じ1993年生まれの内野手として切磋琢磨しあった。仲間たちが次々とチームを去り、伸び悩んでいた若林にも「もしかしたら次は自分が…」との思いがあった。同じく「93年組」の投手では中川が新守護神を任されるなど、飛躍を遂げた選手の姿も大きな刺激になった。

 尻に火が付き、一皮むけた男の存在は、チームにとって貴重なピースとなる。相手や状況に応じた選手起用で知られる原監督だが、今季は「(レギュラーは)できればシーズン入ったら競わずに、まぁまぁの形でですね、陣容が組めたらなと思います」と「打線固定」の意向を示している。

 悲願である「打倒ソフトバンク」にはシーズンを通して打線を固定。個々の選手がそれぞれレベルアップし「骨太打線」を組む必要があるためだ。

 相手投手に左右されない両打ちで内外野を守れる「2番打者」は指揮官の求めていた理想像と一致する。ようやく見つかったチーム悲願のキーマンが、後は結果を残し続けるだけだ。