開幕を前に楽天で新たな難題が浮上している。主力野手に左打者が圧倒的に多く、打線のバリエーションが少ない点だ。19日のヤクルトとのオープン戦(神宮)の先発メンバーで、右打者は4番の浅村と先発マスクをかぶった太田の2人だけ。他の7人は全て左打者という偏った打線になった。3回に浅村が死球を受けて途中交代した後は、太田を除いて左打者ばかりがズラリと並んだ。

 石井監督は「基本的にウチは左打者に重きを置くチーム。ただ、一つ言えることはウチの左打者は左投手をそんなに苦にしていない。それに左投手の中には左打者に弱い投手もいる」との考えで自軍の偏重打線を意に介していない。

 確かにデータを見ると昨季の楽天打線は対右投手が打率2割6分1厘で左投手には2割4分9厘。わずかな差はあるものの、左投手に対して苦手意識はないと言える。それでも、相手側から見れば極端に左打者が並ぶ打線は作戦が立てやすい。

 実際、昨季楽天に勝ち越したパ球団の幹部も「先発ローテの関係もありますが、基本的に楽天には左投手をぶつけていくのが無難でしょう」と言い切り、その上で「楽天打線は右投手にとっては脅威かもしれないが、左投手には『投げにくい』という意識はない。むしろ配球なども組みやすいはずなので強気に攻めていけると思う」と強気に語っていた。楽天としては気になるところだろう。

 現在、チームには両打ちの田中和や2月に日本ハムからトレードで獲得した横尾、パンチ力のある和田ら右打者がスタメンに名を連ねる可能性はある。ただ、左打者勢が好成績を残しているため、レギュラーとしての出場は微妙。右打ちの新外国人2人(カスティーヨ、ディクソン)も来日が未定だ。

 開幕投手の涌井が4回持たず7安打5四死球8失点と炎上降板したのも気になるところ。ソフトバンクと並んで優勝候補に挙げられる楽天だが、開幕までに不安を払拭していけるのか。