「オンリーワン」でさらなる高みを目指す――。楽天のサブマリン右腕・牧田和久(36)が2年連続のフル回転に向け意欲的な調整を続けている。

 今年のキャンプでは第1クールから4日連続プルペン入り。その後も連日のようにブルペンで若手投手らと精力的に汗を流す姿が目立った。「周りから見ると飛ばしているように見えるかもしれませんが、あくまで自分の感覚、状態と相談しながらやっている。早めを意識しているわけじゃないんですけどね」。笑う牧田の顔には充実した調整ぶりが漂っていた。

 移籍1年目の昨季は救援陣の一角として開幕からフル稼働。120試合制のシーズンでチーム最多の52試合に登板し、2勝2敗22ホールド2セーブ、防御率2・16の好成績を挙げた。石井監督下の今季も昨季同様の鉄腕ぶりが期待されている。本人は「自分が任されたところで自分のベストパフォーマンスを出す。そのためにはケガなく1年やる。そこが一番大事」と体調管理にも余念がない。

 チームには自身と同じくメジャーでプレーした田中将大(32)が加入した。「ここにいるのが不自然というか、まだ違和感がある」と苦笑いを見せるが、日米を股にかけた一流投手の存在は投手陣全体に大きな刺激をもたらすことを予感している。

「自分だけじゃなく、特に若手にいい刺激になってくれれば相乗効果が出てくるはず。特にウチの先発は4本柱(田中将、涌井、則本、岸)と言われていますけど、若手投手がナニクソみたいな感じで『俺がその中に入ってやる』というのが出てくれば、チームは強くなるし締まると思いますから。そうなるとチームの雰囲気もガラッと変わると思いますしね」

 今年11月で37歳。田中将らと投手陣全体をけん引する年齢だが「僕が先頭になって引っ張っていくというのはない。タイプ的に『俺についてこい』という感じじゃないので」。その代わりに自身の思いを背中で感じ取らせる活躍を誓う。

「他の投手と投げ方も違うのでどうしても(若手に)教えられることは限られてしまう。だから僕の場合は黙々と自分の仕事をこなしていく姿勢を見せていければいい。アンダースローは(チーム内で)僕だけですし、西武時代からずっとそうなんですけど、自分の代わりはいないと思っているので。その強みを生かしていきたいですね」

 比類なきベテラン右腕の飽くなき戦いは続く。