戦列復帰したソフトバンク・今宮健太内野手(29)が、さすがの存在感で“鷹の強さ”を象徴してみせた。宮崎キャンプ序盤に両ふくらはぎの不調で離脱しながら、2日の中日とのオープン戦(ペイペイ)で一軍本隊に戻り、すぐさま先発出場を果たした鷹が誇る内野の要。いきなり3打数2安打と強烈なインパクトを残した。

 昨季は左脚の故障などに泣かされ、個人としては結果的に夏に“終戦”を迎えていた。昨年8月16日以来の本拠地での一軍戦は待ち望んでいたものだった。今宮が正遊撃手についたのは21歳。そこからずっとレギュラーを張り続けてきただけに、戦場から半年以上も離れることを危惧していた。後輩たちの突き上げ以上に、競争の輪から外れることに“慣れる”ことが不安だったという。

 周囲が新シーズンに向けた準備を提案する中、昨季の日本シリーズ中に「本気の本気」で復帰を目指していた事実はそういう理由だった。「人は明確な目標を持つと、向上心を忘れず鍛錬できますから」。昨秋に目標を見失わなかったことで「選手寿命も延びる」という考えが、間違っていなかったことを今は実感している。

 この考えが今宮だけではないのが、ホークスの強さだ。現在、リハビリ組では出遅れている千賀、柳田の投打の大黒柱が懸命に調整を続けている。開幕投手こそ石川に譲ったが、千賀も今宮同様に「最短最速」を念頭に、開幕に合わせるかのようなペースで調整ピッチを上げている。柳田も3・26開幕戦に「100%で行く」ために動いている。

「今宮魂」は受け継がれてきたホークスの伝統でもある。層の厚い常勝軍団で、主力陣の目が鋭くなっている。