【赤坂英一 赤ペン!!特別編】DeNA・三浦監督は「番長2世」を育てることができるだろうか。

 客観的に見ると、今季このチームはかなり苦労しそうだ。オースティンやソトら外国人がコロナ禍で合流できず、梶谷の巨人移籍で空いた1番と外野の穴も大きい。それならばと機動力に活路を見いだそうとしているのはいいが、練習試合でもなかなかうまくいっていない。

 投手陣も昨年までの柱だった今永が肩、東がヒジの手術明けで開幕に間に合うかどうかは未知数。元エース投手だった三浦監督としては、今こそ“新世代の番長”に出てきてほしいところだ。

 そうした中、開幕投手候補の一人と目されているのが8年目の平良拳太郎。18日の阪神戦では3回をパーフェクト、4安打3打点と大暴れしたトラのドラ1・佐藤輝も左飛に仕留めている。

「今年のテーマは、真っすぐも変化球もしっかりとストライクゾーン内で勝負すること。自分でも納得できる投球でした。特に(4番井上、5番中谷から奪った)2個の三振は自分でもベストの球が行っていましたね」

 そうコメントした表情も自信たっぷり。「1月の自主トレからいい調整ができていたので、それが今につながっていると思う」と、オフの間に取り組んできたウエートトレの成果を強調した。

 平良は沖縄県立北山高から2013年ドラフト5位で巨人入り。17年にFA宣言した山口の人的補償でDeNAに移籍すると、翌18年には早くも先発ローテ入りして、プロ初勝利を挙げている。

 昨季は4勝6敗と負け越しながらも、自己最高の防御率2・27をマークし、自身初の完投も記録した。スタミナには自信があるそうで、巨人時代には憧れの存在として、11試合連続完投勝利の日本記録を持つ大先輩・斎藤の名を挙げている。

 DeNAの三浦監督も、現役時代にはリーグ最多完投4度、最多完封3度の記録を持つ“スタミナ番長”。こんな名言も残しているほどだ。

「先発するからには常に完全試合を目指す。走者を出してしまったらノーヒットノーラン。ヒットを打たれたら完封。点を取られても完投したい。俺には最後まで投げようと思わなかった試合は、一つもありません」

 ひょっとしたら、平良がそんな三浦監督の美学を体現する投手になるのでは、と私はひそかに期待している。「番長2世」というキャラではないかもしれないが。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。