学びの心は衰え知らずだ。40歳目前のソフトバンク・和田毅投手(39)が自主トレをともにする愛弟子・笠谷直伝のナックルカーブの習得に励んでいる。これまで投げていたカーブに加えて「速いのと遅いので2種類使えれば」と23歳の若鷹の武器にロックオン。今季初の実戦登板となった19日の紅白戦でも試投し、2回2安打2奪三振で無失点の好投につなげた。開幕に向けて順調そのもので、工藤監督も「かなりいい状態なんだろうなと見ています」と頼もしそうだ。

 2月21日で四十路に突入するが、向上心は若いころと変わらない。親子ほど年の離れた後輩相手でも学べるものは学ぶ。昨季8勝1敗、防御率2・94の好成績をマークしたベテランは「握り方を聞いて、感覚とかも聞いて練習してきた。あのカーブというのは彼も自信を持って投げている。モノになればと思って練習しています」と当たり前のことのように話す。

 その姿勢には周囲も感心するばかりだ。「さすが貪欲だよね。あれだけのベテランが若い選手に教わって新たな武器をということはなかなかできることではない。常に上を目指そうという思いがあるからこそなんだろうけど。本当にいいお手本になっている」(チームスタッフ)

 和田は「若かろうが年をとろうが、上を目指していかないといけない」との考えを貫いており、直球の速さにしてもアラフォーになって再び上昇中。昨季は自己最速に迫る146キロを計測した。スピードガンの速さを競っている9学年下の嘉弥真も「和田さんはすごいんで」と苦笑いを浮かべるほどだ。

 和田が若手から学び、若手も和田から学ぶ。ソフトバンクが常勝チームであり続ける理由は、このサイクルがしっかりしていることだろう。