これも一種の〝ケガの功名〟か。両アキレス腱の不調から今キャンプはリハビリ組で調整しているソフトバンク・柳田悠岐外野手(32)が、出遅れたルーキーに好影響を与えている。

 キャンプ地の宮崎・生目の杜運動公園で、今やおなじみの光景となっているのがドラフト2位新人・笹川吉康外野手(18=横浜商)による柳田の徹底マークだ。1月の新人合同自主トレで左足を骨折して、プロ初のキャンプをリハビリ組で送っている。球団関係者が言う。

「笹川はリハビリで落ち込んでいたけど『キャンプで毎日ギータさんと一緒にいられて勉強になります』と言っていた。ファーム首脳陣からも『柳田について回れ』と許可を得ているみたいです」

 柳田が室内練習場に移動すると、同じタイミングで移動。憧れの大砲が打撃練習を始めると自らの練習の手を止め、そっと背後に回って見学するのが日常となっている。

 11日にはドラ1・井上らが主力中心のA組練習に参加した。ハツラツとした同期の姿に焦る気持ちもあるだろうが、必死にこらえてリハビリに専念できているのも〝柳田の教え〟があるからだという。別の関係者が明かす。

「毎日、ギータが話をしてあげているみたい。笹川が腰を据えてリハビリができているのは、柳田の存在が大きい。『とにかく今はメシを食って寝てろ』といった、柳田らしいフォローが効いているようです」

 笹川は193センチの長身に加え、入寮時に86キロだった体重は94キロまで増えた。すでに体格は柳田とそん色ない。チーム内の評判も「18歳であれほど振れる選手はいない」と上々だ。

 師匠の柳田は16日に行った今キャンプ初の屋外フリー打撃で93スイングして柵越え7発。「体の状態を確認しながら打った」と丁寧にバットを振った。まだ強度を上げたランニングは解禁していないが、もちろん見据えているのは「開幕センター」。主砲の〝急がば回れ〟はチームに迷惑をかけないためのものだが、思わぬ副産物ももたらしている。