ソフトバンク宮崎春季キャンプ第4クール初日の13日、工藤公康監督(57)が主力中心のA組ブルペンを熱心に視察した。

 見つめる先で先発枠を狙う大竹が164球、昨季中継ぎでブレークした泉が159球、調整順調の和田が84球…。課題を持って投げ込む若手、状態をチェックして早めに切り上げるベテランと、指揮官はブルペンに入った9投手の「今」を確認して、開幕に向けた投手陣容を描いていたはずだ。

 先発陣は「二枚看板」が出遅れている。エース・千賀が両ふくらはぎの不調、東浜が昨年11月に訴えた右肩不調の影響のためリハビリ組で調整中。「3・26開幕」を見据えて「二枚看板不在」のローテーションを用意することは危機管理上、必然のことだ。この日、指揮官は「遅れている分はこちらでしっかり考える。復帰が遅れるようであれば、対策を考えないといけない。その辺は投手コーチと話をして煮詰めていきたい」と踏み込んだ。

 15日からは紅白戦がスタートし、先発枠をかけた競争が一段と激しさを増す。開幕ダッシュをかける「盤石ローテ」形成という点では、鷹投の現状は不安要素となりつつある。新型コロナ禍の影響で新外国人の入国すら不透明な状況。石川、和田に続く形で高橋礼、二保、武田、大竹、笠谷らの高レベルの争いを期待するしかない。状態の良い6枚を揃えられるか。揃わなければどうするのか――。

〝やりくり上手〟の指揮官は鋭い眼光の奥で、現時点の陣容に合った2021年型の構想を練っているはずだ。