巨人がブルージェイズを事実上の戦力外となった山口俊投手(33)の調査を開始。2019年の投手3冠(最多勝、最高勝率、奪三振)右腕の2年ぶりの古巣復帰となれば、リーグ3連覇、9年ぶり日本一を目指すチームにとっては大きな追い風となる。先発陣の層はもちろん厚くなるが、その一方で「あおり」を食う選手も出てきそうだ。

 2年契約最終年を迎えた山口がキャンプ地へと飛び立った直後の10日(日本時間11日)、40人のロースター枠から外れる「DFA」となった。右腕はこの日から7日間以内にトレードされるかウェーバー公示される。移籍先が決まらない場合、マイナー落ちか自由契約を選択することになる。

 そんななか19年オフに山口のポスティングによるメジャー挑戦を認めた古巣・巨人は、山口が自由契約になった際に動く準備を始めた。巨人関係者は「日本一を目指すなら先発は一人でも多く必要。山口の弟子である戸郷にとっても刺激になる」と19年に15勝4敗の成績で5年ぶりリーグVに貢献した右腕の動向を注視している。

 その一方で山口が巨人復帰となった場合、そのあおりをモロに受けそうなのが、DeNAからFAで加入した右腕・井納翔一投手(34)だという。

 巨人の現在の先発候補は菅野、戸郷、サンチェス、井納。これに今村、畠、桜井、高橋、ドラ1平内らが争う形となっている。井納と山口はDeNA時代、先発の両輪として活躍した間柄。前出の関係者は「井納の獲得は菅野のメジャー移籍を想定してのもの。菅野が残留したうえ、山口まで復帰すれば、井納が中継ぎに回る可能性がある」と指摘する。

 実際、井納はDeNA時代の18年にはラミレス前監督の方針により中継ぎに転向。17試合に登板するなど中継ぎの適性を見せている。

 もっとも井納本人は先発ローテに集中。昨年12月の入団会見で原監督から「先発ローテとして150イニング」と期待された右腕は12日には、S班沖縄キャンプで4度目のブルペンで小林を相手に31球を投げ込み「マウンドの固さにも慣れて、指にかかるボールが増えてきたので良かったと思います。順調にきているので今後はストレートの精度をもっと上げていきたい」と意気込んだ。

 一方、山口も当面は米国に滞在しトレーニングを行う予定。日本球界復帰となった場合でも、帰国時には2週間の自主隔離期間があり、3月26日の開幕に間に合わせるのは困難となる。

 当然、再び日本のボールとマウンドに合わせるための調整時間も必要。昨季メジャー17試合で防御率8・06、2勝4敗の状態から復調できなければ、抑え経験のある山口の方が中継ぎに回る展開もある。いずれにせよ、今後の山口の動向から目が離せない。