前評判以上に戦力となるかもしれない。巨人のドラフト1位新人・平内龍太投手(22=亜大)がプロ初の実戦となる11日の紅白戦に登板し、1イニングを無安打無失点に抑えた。即戦力の呼び声は高かったが、早くもチーム内からは2桁勝利や新人王を期待する声が聞こえてくる。しかも、昨季ブレークした〝あの投手〟よりも能力の測定値は高いとか――。


 冷静な投球が光った。先頭の松原を直球で押し込み中飛に打ち取り、続く湯浅は四球で歩かせたが、慌てることなく次打者の北村を三ゴロ併殺打に仕留めた。

 この日はMAX146キロだった。自己最速156キロには遠く及ばなかったものの、カーブのような軌道を描く縦のスライダーを決め球にして「武器になる球だと思うので良かった」。自己採点は「70点」と控えめだったが「思ったよりもいい感覚で投げられたので、自信にはなった」と胸を張った。

 自己分析もしっかりできている。ツーシームの制球力向上を今後の課題に挙げ「変化球がいつでも狙ったように投げられるのが、プロの世界では必要になってくる」と表情を引き締めた。

 プロ初の実戦登板で披露した堂々とした投球内容はもとより、入団後に評判を上げている潜在能力の高さもチーム内では大きな関心事となっている。実際に、あるチーム関係者は「握力や持久走のタイムなど、ほとんどの項目で既に戸郷よりも上です。ポテンシャルはかなり高いです」と明かす。

 昨季の戸郷は高卒2年目ながら9勝を挙げ、広島・森下と最後まで新人王を争った。年齢では平内の方が上のため単純比較はできないが、既に2桁近く勝てる能力を持っているという評価を得ているのは紛れもない事実だ。

 プロでは半年以上に及ぶ長いシーズンを戦い抜く体力も必要となる。この点についても別の関係者は「平内は負荷の高いメニューも比較的、ケロッとした表情でこなしちゃう。大学時代に厳しい練習を耐え抜いてきただけのことはあるよ」と舌を巻く。4年間を過ごした亜大は大学球界屈指の厳しい練習で知られており、体力面でも心配無用というわけだ。

 見守った原監督は「非常に力がある。やっぱり実戦的なのかな」と手応えを感じている様子だった。視察に訪れていた他球団のスコアラーも「ブルペンの時よりも実戦映えしていた。体のキレと真っすぐがいい」「制球もいいし、まとまっている。厄介な投手になるんじゃないかな」と警戒する。平内にとって「二桁勝利」と「新人王」は夢ではなく現実的な目標なのかもしれない。