昨季「投手2冠」に輝いたソフトバンク・石川柊太投手(29)が7日、工藤公康監督(57)から開幕投手の有力候補に挙げられた。

 宮崎春季キャンプ(生目の杜運動公園)第2クール最終日、指揮官が珍しく猛ハッパをかけた。

「開幕(投手)もいつかは決めないといけない。『自分もそういうチャンスがあって、やるんだ』というくらい気持ちを入れて頑張ってほしい」

 千賀が両ふくらはぎのコンディション不良、東浜が新型コロナウイルス感染の影響でともにリハビリ組スタート。開幕投手経験者の二枚看板が出遅れる中、石川に明確なメッセージを送った。

 この日、打撃投手を務めた石川。カーブの制球に苦しむ場面もあったが、それでも見守った工藤監督は「悩むことはいいこと。彼の場合は考えて悩んで良いものを出してくるっていうのがある。そういう意味では今日は非常によかった」とうなずいた。

 昨季、最多勝と最高勝率のタイトルを獲得した右腕への信頼は厚く、かねて野球への取り組みを評価。育成から這い上がり、毎年進化する29歳に一目置いてきた。

「ケガさえなければ、そこに向かっていろいろと考えてやれる子だし、しっかりと調整もできる。あとはシート、紅白の中で徐々に打者に慣れていって、オープン戦で自分のボールなんかを試したりとか、そういうふうにしていけば感じはつかめるのかなと思う」と信頼に揺るぎはない。

 そんな指揮官の期待に石川は「やることは変わらない。足元を見つめてやるべきことを積み重ねることで結果がついてくると思う。言われたから頑張るわけじゃない。みんなに『エース』『開幕投手』という自覚と責任があれば、みんな質のいい投手になれる」と浮足立つことなくきっぱりと言い切った。

 工藤監督のメッセージ。しっかりと石川にも伝わっている。