田中将 坂本とのライバル物語 今も昔も対抗心ムキ出し

2021年02月06日 14時00分

坂本(左)と田中将

【赤坂英一 赤ペン!!】 田中将大が楽天に復帰すると聞いて、真っ先に思い出したのは、初めてインタビューしたときのことである。今から9年前の2012年と古い話で恐縮だが、スポーツ総合雑誌「ナンバー」の仕事で、テーマは「宿命のライバル対決」だ。

 となれば、兵庫県伊丹市での小中学時代、同じチームで野球をしていた巨人・坂本を外すわけにはいかない。彼は当時の田中将を評して「子供の頃からすごかった。肩は強いし、球は速いし、打ったら誰よりも遠くへ飛ばした」と絶賛している。

 そんな2人のプロ初対決が実現したのは08年6月16日、宮城での交流戦だった。第1、第2打席は田中将が抑えたが、第3打席は坂本が145キロの真っすぐを中前、第4打席はスライダーを右前へ運んでいる。

 もっとも、坂本によれば「2安打はたまたま」。「とくに第4打席のスライダーは、フルカウントからストライクを取りに来た球。空振りを取りに来た決め球じゃないからヒットにできたと思う」と謙遜していたものだ。

 そうした坂本の感想を田中将にぶつけると、彼は持ち前の負けん気をむき出しにしてこう言った。

「今度対戦したら、絶対に抑えたい。最初は僕が打たれたし、対戦成績もよくないけど、次はそうはいきませんからね」

 そう言いながら、打者としての坂本にはリスペクトの言葉が口をつく。

「彼は内角に打てるツボがあります。インコースのさばき方がうまいですね。それに、巨人といういろいろとプレッシャーがかかるチームで、何年間もレギュラーを務めているところがすごい」

 10年6月6日の再戦では、初回に先頭打者の坂本が左飛を打ち上げて東京ドームの天井を直撃。これが特別ルールで二塁打となり、阿部に3ランを打たれていきなり3失点だ。あれには頭にきた、と田中将は苦笑いして振り返った。

「あんなの、完全に普通のフライですよ。それが天井に当たっただけ」

 ちなみに、この試合は味方が逆転して、田中将が勝ち投手になっている。それでも「プレーボールがかかっていきなり天井だもんな」と悔しがっていたのが田中将らしい。

 ここまで対戦成績は坂本の8打数4安打で実に打率5割。しかし「次はそうはいきませんから」と言っていた田中将はこの後、坂本にわずか1安打しか許していない。対戦打率は5割から2割7分8厘まで下げた。

 13年の日本シリーズ以来、8年ぶりの再対決ではどんな結果が出るのか、今から楽しみでならない。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。

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