黄金期を知る男が救世主となるか――。元監督の古田敦也氏（５５）がヤクルトの臨時コーチとして５日からキャンプに合流。球団ジャージーに身を包み、現役時代さながらの青いミットを携えて室内練習場からメーン球場、ブルペンを行き来して熱心にアドバイスを行った。古巣のキャンプに参加するのは選手兼任監督だった２００７年以来１４年ぶりで「あまり変わっていなくて居心地の良さを感じています」と笑顔を見せた。

　今回の臨時コーチは高津監督からのラブコールで実現した。ブルペンでは若手投手の投球を見るとともに捕手陣もチェック。時おり、中村ともやり取りしながら真剣なまなざしでブルペンを見つめた。古田氏は「この投手だったら、どうやって抑える？」「打者（巨人の）岡本やったらどうする？」などと中村を質問攻めにした上で、投球練習から漠然と球を受けるだけでなく意識改革をするように求めた。

　それこそが高津監督の狙いで「やはり（古田氏の）捕手目線というところに関して我々が気付かないところ、見えないところを（球を）受ける方の目で見てくれている」と〝古田の目〟に期待を寄せる。レジェンド捕手も「野村（克也）元監督の教えを継承していくのが僕の仕事。野球は進歩していくが、普遍的な部分を今に当てはめてくれたらいい」と言う。

　ヤクルトのチーム防御率は１９年から２年連続１２球団ワーストで、チーム成績も２年連続最下位。浮上にはバッテリーの強化が不可欠だ。「僕もＯＢですけど悔しい」と話す古田氏は１８年の現役生活で５度のリーグＶと４度の日本一に貢献した。１１日までの臨時コーチ期間で、そのイズムを注ぎ込む。