原巨人の「助っ人ジレンマ」はいつ晴れるのか…。攻撃陣強化へ、今オフにはメジャーリーガー2人を獲得したが、政府の入国制限によって来日のメドが立っておらず、調整遅れによる開幕への懸念も生じている。大枚をはたいた球団側がじだんだを踏む一方で、補強で埋められた外野陣にはレギュラー取りのチャンスが生まれ、光明も差し込んでいる。

 2月1日のキャンプインに向け、昨季も日本でプレーしていた助っ人勢は19日から入国を開始した。ただ、新加入のメジャー通算196本塁打を誇るジャスティン・スモーク内野手(34=前ジャイアンツ)と、同96発男のエリック・テームズ内野手(34=前ナショナルズ)の来日の見通しは立っていない。

 現在の日本政府の方針では、在留資格を持たない外国人は原則として2月7日まで入国できない。仮に翌8日に解除されれば、現地でビザを発給し来日は可能となるが、その後に2週間の隔離期間が必要となる。最速で来日しても隔離が解けるころにはすでにキャンプ終盤で、緊急事態宣言が延長されれば、さらに来日がズレ込む可能性もある。キャンプ参加が見送られると、チームプレーや調整遅れによる影響が3月26日の開幕まで及ぶことも考えられる。

 もちろん、この〝来日問題〟は、どの球団も抱える悩みの一つ。そのため、巨人では選手の負担や故障リスク軽減などを目的に、19日のセ・リーグ理事会で期間限定のDH制導入を再提案したが、他球団の賛同を得られず、結論は先送りに…。テームズは推定年俸1億2500万円ながら、一塁での起用が濃厚なスモークに至っては同3億1000万円の2年契約だ。補強の目玉たちが空回りしては目も当てられないだけに、球団側も頭が痛いところだ。

 ただ、テームズの今後が不透明となれば、がぜん盛り上がるのは補強の陰に埋もれた外野陣だ。当初のチーム構想ではテームズが左翼、丸が中堅、右翼はDeNAからFA加入した梶谷。〝外様3人衆〟でガッチリと固まったかに思われたが、球団関係者が「チャンスはまだある」としたように左翼に隙が生まれる。テームズが本調子に戻れば優先起用されることは確実だが、それまでにベンチへ追いやるほどの猛アピールを続ければ、チャンスはゼロではない。左翼候補には5年目の松原や石川、陽岱鋼、立岡、若林らの名前が浮上してくる。

 振り返れば、元木ヘッドも年明けに「(補強は)しょうがない。俺が三塁の時もルイスが入ってきて、ずっとベンチだった。キレたら終わり。いずれチャンスは来る。(自分の場合は)1か月で来た」と諭すように語っていた。

 頭痛がやまない球団側とは対照的に、グラウンド内の熱はいっそう高まりそうだ。