日米を股にかけた球歴の生かしどころだ。今季から阪神のSA(スペシャル・アシスタント)となった藤川球児氏(40)に、新助っ人のサポート役を望む声が上がっている。昨季限りで引退したレジェンドは今季から現場やチーム運営だけなく、フロント業務など阪神にまつわることを広義にサポートする役職についた。

 とはいえ球春到来となるキャンプイン後は、後輩ナインにNPB通算243セーブを挙げた経験値と〝火の玉ストレート〟の伝承を訴える声が出ることは自然な流れでもある。現場ではそんな〝臨時コーチ〟的な存在になる藤川氏に、新加入のラウル・アルカンタラ投手(28=韓国・斗山)のサポート役を推す声が出ている。

 昨季20勝の韓国球界最多勝の期待の新助っ人は、コロナ禍による入国制限措置でキャンプ合流の見通しが立っていない。それに加え「来日初年度はやっぱりといろいろと問題が出てくる。それはグラウンドでもね」とOBの通訳経験者は語る。

 技術面でいえば、セットポジションでの静止時間の違いや、走者がいる場面でのクイックモーションなどで苦労する外国人投手は多い。そんな技術面の修正は「実際にプロでプレーした人間でないとわからないぐらいの繊細な言葉や感覚的なニュアンスで伝えなくてはならない」という。日本独特の〝ルール〟なども藤川氏であれば「メジャーも経験して、日本人として、海外の野球でのカルチャーショックを体験している。逆の立場にたって上手に教えられると思う」というわけだ。

 藤川SAにかかる期待は大きい。