半年前から球団に不信感…これがノリ「懲罰抹消」の真相

2014年05月08日 20時00分

2度目の“采配批判”で二軍降格となったノリ
楊枝秀基のワッショイ!!スポーツ見聞録

 チーム方針に従わない言動があったとして、DeNA・中村紀洋内野手(40)が7日、一軍登録を抹消された。自身が打席に立った時の走者を「動かさないでほしい」と首脳陣に相談したところ、これが監督批判ととらえられたという。一昨年も同様のトラブルがあったため、中畑監督も敏感に反応した格好だが…。窮地に陥ったノリは、これからどうなるのか。ノリの“親友”としても知られる、本紙連載「ワッショイ! スポーツ見聞録」でおなじみの楊枝秀基氏が、今回の懲罰降格騒動の背景と真相に迫った。

 事件はすでに始まっていた。昨年10月下旬の出来事だ。球団との下交渉で日本シリーズ終了までに球団提示金額で合意しなければ契約しないと通告された。FA権を持つノリに対し、戦力外をちらつかせる強引な契約を迫ったことは記憶に新しい。DeNA選手会も異議を唱えた“肩たたき”契約。苦心の末に契約に踏み切ったものの、この時点で高田GMに「ゴネた」と判断されたノリの苦悩は始まっていた。

 この直後に球団はオリックスからバルディリス獲得の方針を決定。実際、獲得に至ったわけだが、これが序章だ。当初はFAでの流出を阻止すべく、中畑監督も「4番・ブランコ、5番・ノリは不動」と公言していたにもかかわらず方針転換。ここに、巨人OBで中畑監督の先輩にあたる高田GMの意思が反映されなかったとは考えにくい。この事実だけでも、苦渋の残留を決めたノリが不信感を持ったとしてもおかしくない。

 さらに、春季キャンプは二軍スタート。「CSに出場するために近鉄、中日での優勝経験を若手に伝えたい」と張り切っていたノリだが、20歳以上も年齢の離れた二軍の若手とともに汗を流した。ベテランに対してお任せの、マイペース調整の権限を与えたかに見えるがそうではない。故障でも調整遅れでもない中で、疎外感を感じたに違いない。さらに、球団関係者によると、キャンプ宿舎での夕食で食あたりを起こした際、高田GMから「いつも、ええもんばっかり食うとるからや」という言葉も浴びせられたという情報もある。冗談であったとしても、選手を守る立場の人間が発する言葉とは思えない。

 オープン戦時期に入ると、一向に一軍合流してこないノリに対し他球団から「故障しているのか?」という調査も入った。実際は故障もなく、調整遅れでもなかった。その後、代打でオープン戦の打席に立ち、故障でないことを証明してみせたが、開幕も二軍スタート。開幕投手以外の先発ローテ投手が登録されず、野手枠に余裕がある状態での措置に、ノリが「構想外なのか」という疑念を抱いたとしても不思議ではない。

 そこへきて今回の騒動だ。6日の巨人戦、1点リードの8回無死一塁。走者の梶谷には自身の判断で盗塁を企図できる「グリーンライト」が点灯しており、激しく動く動作をみせていた。この場面でノリは三塁ゴロ併殺。「負けている場面なら分かるが、ここは集中したかった」と、コーチに相談した形だ。その後、直接、中畑監督と話すこともなく午前中に登録抹消を携帯電話で通告された。午後に都内のホテルで直接会談したものの、抹消ありきの会話で建設的な会話はなされなかった模様だ。その証拠が、会談後にアップされたフェイスブックの内容だといっていい。

 ブランコの故障がなくても「必要戦力」だったのか。チームの窮地で一軍昇格し13試合で10打点の数字は事実。この状況で抹消となれば、選手にしてみれば“飼い殺し宣言”を受けたと理解してもおかしくない。7日の巨人戦に高田GMの姿はなし。当然、早期の対応が求められるが、今後の展開によってはトレード志願も…という事態に発展しかねない。

☆ようじ・ひでき=1973年、神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」でプロ野球担当記者として活躍。巨人、ヤクルト、西武、近鉄、阪神、オリックス担当を歴任。2009年にはWBC取材班キャップとして2大会連続世界一を体感した。13年10月独立。ライター離れしたファッションセンスとトーク力で取材を展開。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれないフィールドに人脈を持ち、個性派路線を貫く。昨年12月にアメーバブログ「楊枝秀基のワッショイ!! スポーツ見聞録」を開設。今年4月2日には神戸・三宮にレストランバー「42」を開業した。