DeNAからFAで巨人に加入した井納翔一投手(34)の「超人コミュ力」が注目されている。リーグ3連覇と日本一を目指す原巨人で先発ローテーションの一角と期待される右腕は、言語のカベも超越する対話力を持っているという。「背番号21」が〝異能〟の力で新天地になじみ、いきなり力を発揮できるか。 

 井納は18日、川崎市内のジャイアンツ球場で自主トレを公開。今年初のブルペンで15球程度を投げ「しっかりと投げられました。初日としては自分が思ったより良かった」と笑顔を見せた。

 FA戦士の新天地での活躍は短期間で新チームに溶け込めるかが大事な要素。古巣のDeNA関係者は「井納のコミュ力はものすごく高い。彼には言語のカベも関係ない」とその能力に舌を巻く。

 それを証明するのがDeNA時代に築いた歴代の助っ人との親密な関係だ。2014年から16年までDeNAに在籍したギジェルモ・モスコーソ投手とは「ジーモ」の愛称で呼ぶほど仲良しとなったが、そのきっかけは「先乗り」だった。

 シーズン中、先発投手は登板日に合わせ、チームより前に遠征先に入る。当時のDeNAは通訳数が限られていたこともあり、井納がモスコーソの移動をアテンドし、夕食を共にするケースが多かった。

 ベネズエラ出身のモスコーソの母国語はスペイン語。当時の井納はスペイン語どころか英語もさっぱりだったが「スマホのアプリで食材の単語を翻訳しながら」(井納)、ボディーランゲージで会食を楽しんだ。モスコーソもすっかり井納を気に入り、頻繁に食事に行くようになったという。

 この井納の〝特技〟を球団も高く評価していた。17年の春季キャンプで井納は外国人組入り。練習後はパットン、ウィーランド、クラインら新外国人投手をステーキ店に連れていくなどチームづくりに貢献した。

 国籍、言語のカベも軽く越える井納のコミュ力はヤングG投にとっても心強い。原監督からは「若い投手がジャイアンツは多いので教育でもいい影響を与えてほしい」と〝教師役〟としても期待されている。井納は「僕自身も(プロに)入った時、年齢の離れた選手に話しかけるには相当な勇気と覚悟が必要だったので、逆に若い子は僕から話しかけてやっていければ」と積極的に対話していくつもりだ。

 すでにジャイアンツ球場で自主トレ中の丸、炭谷、中川ら一部主力とのあいさつは済ませたが「すんなりと(チームに)入れるように自分自身やっていきたい」と貪欲。自慢のコミュ力を用いて短期間でチームになじみ、チームを日本一へと導く力になれるか。