日本球界の頂点「年俸8億円」菅野に迫る〝坂本の悪夢〟

2021年01月15日 05時15分

史上最高年俸で契約を更改した菅野(球団提供)

 ついに日本球界の頂点に――。巨人・菅野智之投手(31)が14日に契約更改を行い、ペタジーニ(元巨人)の7億2000万円を上回るプロ野球史上最高額となる8億円で単年契約した。球史に新たな金字塔を打ち立てた右腕は、ひとまずメジャー挑戦の夢を封印。日本一奪回に全力を注ぐが、自主隔離期間中のため今後の調整は難解を極めそうで、昨季の坂本勇人内野手(32)が味わった〝悪夢〟からの脱却も期待されている。

 無双エースが前人未到の領域に足を踏み入れた。昨季は開幕13連勝を飾るなどセのMVPに輝き、1億5000万円増となる8億円でサイン。途方もない数字に「それだけプレッシャーもありますし、その金額に見合った活躍をしないといけないなと身が引き締まる思いです」と背筋を伸ばし「今はもう目の前の日本一しか考えていないです」と宣言した。

 会見中、唯一表情を緩めたのが電撃入閣した桑田投手チーフコーチ補佐について質問された時で「本当に尊敬できる大投手ですし、ジャイアンツの18番を入団時から引退するまで背負ってきた方。そういう方にしか分からない苦しみだったり悩みはあると思うので。僕もそういう悩みも少なからずあるので、そういったところを聞いてみたい」。最大の理解者として力強い援軍となりそうだ。

 一方で、今後に向けての調整は極めて難しくなりそうだ。メジャー球団と交渉するため、元日に渡米した菅野は9日に帰国。現在は2週間の隔離期間中で待機先から離れることができない。当然、遠投など満足いく通常の自主トレを行うことができず、春季キャンプも一軍本隊から離れ、2月6日にスタートする「S班」となった。

 この〝調整遅れ〟が今季の菅野にどんな影響を及ぼすのか…。球団関係者からは「昨年の勇人と時期的な違いはあるものの、開幕から相当苦しんだ。智之の腕の見せどころじゃないか」との声もある。昨季の坂本は開幕直前に無症状ながら新型コロナの陽性判定を受け、菅野と同様にできることが限られた状態で医療機関に2週間の入院。シーズン終盤で盛り返したのはさすがだが、8月中旬まで打率は低迷し、本人も「なかなか調子が上がらずに迷惑をかけた」と苦しい胸の内を明かしていた。

 坂本に比べれば、菅野に巻き返す時間的な猶予はある。ただ、緻密にプランニングして調整するエースはどう修正していくのか…。菅野は3月26日の開幕投手についても「どうなんですかね…。自分の調整がうまくいくか分からないですけど。そこにこだわり過ぎて急ぎ過ぎても良くない」とし「やっぱり早く体を動かしたいという焦りもあります。徐々にやっていかないと体がぶっ壊れちゃう」と悩ましげだった。

 2000安打を達成した坂本ですら歯車を狂わせた2週間の〝壁〟。

「まずは日本一というのを常に考えながら。今年が終わったオフに、もう一回メジャーリーグに挑戦できるチャンスがあれば、そこでまたチャレンジしたい」。不可能を可能に変えてきた菅野は今回の困難をどう乗り切るのか。エースの役割を果たし、胸を張って夢舞台に飛び立てるかは、今後の調整ぶりに左右されるかもしれない。

(金額は推定)