ソフトバンク5年連続日本一へ 工藤監督が2021年に仕掛ける〝次なる一手〟

2021年01月01日 05時00分

さらなる野手の底上げに余念がないソフトバンク・工藤監督

 2021年は常勝軍団をさらに進化させる! 新年早々、ソフトバンク・工藤公康監督(57)が気合十分だ。ここまでチーム内の競争激化が好循環を生んできたが、今年はそれもスケールアップさせ「ネクスト周東」「ネクスト栗原」の誕生へ、キャンプから〝燃料〟となるバトルの舞台を用意するという。野手育成においては新たなピースとして加わる小久保裕紀ヘッドコーチ(49)の手腕にも大きな期待を寄せた指揮官。V5へ向けての青写真はできている。


 いよいよV5イヤーが幕を開けた。昨季は史上2チーム目となる4年連続の日本一を達成。上を行くのはV9時代の巨人のみとなった。

 工藤監督は昨季の勝因として若手野手の台頭を挙げた。「チームの中に競争相手がいるという中でシーズンを戦うことができたのも良かった。競争意識が芽生えた1年だったのではないか」と振り返った。王球団会長も「一緒にやっていた選手が活躍しているのを見て『よし、次は俺の番だ』となる」と口にする〝常勝・鷹の好循環〟だ。

 すでに来季に向けてのバチバチムードもキャッチ済み。指揮官は「当然、栗原君も昨年で(実質)1年目というところですし、本人も好不調の波があったと言っていた。また、上林君も『来年こそは』という思いでやっているとも聞く。選手それぞれが来年に向けて競争だという意識を持ってやってくれている」と頼もしそうに話した。

 そこで終わらせない。さらに首脳陣サイドから競走激化の仕掛けをしていく。指揮官は、キャンプからオープン戦にかけて〝燃料〟を投下してバトルをあおることを明言した。「プラスアルファして、僕らも(選手が)競争できるようにしたい。競争の場を設けることで、彼らももっと良くなるのかなと思う。彼らが試せる時間をしっかり作りたい。テーマが大事だと思っているので、テーマを与えて、そこの中で競争してもらいたい」

 これまで野手の育成が課題だった。そんな中で昨年は栗原、周東が大ブレーク。川瀬が70試合、真砂も50試合と自己最多を大きく更新する試合数に出場した。さらに二軍には投打合わせて「ウエスタン9冠」に輝いたメンバーも控える。今年は野手陣では三森(首位打者、最高出塁率)、リチャード(本塁打、打点王)、佐藤(盗塁王)らファームのタイトルホルダーも機会をうかがうことになる。

 デスパイネ、グラシアルの助っ人組は3月の合流予定となっている。その中でキャンプの紅白戦、シート打撃、そしてオープン戦では若手を積極起用してチャンスを与えていく方針だ。昨季は結果主義の貫いて奏功した。今年に関してもアピールに成功した選手は大抜擢していくことになる。もちろん、投手陣も同様だ。

 バトルの対象は若手だけにとどまらない。実績のあるベテランも対象になる。すでに捕手登録ながら昨季は一塁と外野を守った栗原に三塁の練習をさせる構想も温めている。正遊撃手・今宮が復帰を目指す中で、周東、牧原も昨季サードを守っている。昨季不振だった正三塁手・松田宣も、さらにうかうかとはしていられない状況となる。

 チーム内の競争がチーム全体の底上げを生む。それは工藤監督が〝原体験〟の中で体感しているところでもある。9年間で8度のリーグV、6度の日本一を果たした西武黄金時代。当時、選手だった指揮官は、唯一ともいえる〝弱点〟について「西武は次の世代がなかなか育たなかった。(主力が)圧倒的過ぎて(若手が)『勝てない』『あの人たちがいなくなってから自分たちだ』という認識になってしまった」と振り返ったことがあった。当時の西武を超える常勝王国を築き上げるためにも、さらなる競争を激化させていくのだ。

 主砲・柳田の後継者となる大砲候補が出てきていない中で、通算2041安打、413本塁打を放った小久保ヘッドが新たに入閣する意味も大きい。工藤監督も指揮官でありながら、自らの現役時代のノウハウを注入して投手陣の育成に手腕を発揮してきた。

「いろんな引き出しを持っているんじゃないかと思っている。ジャパンの監督もやっていて、一軍のレベル、日本代表のレベルも理解している。僕らの見えない足りない部分や、体も心もそうだし、打席に入る時の心構えであったり。彼の譲れない部分や強さがあると思う。そういうところや方法論や選手に伝えてくれることを期待しています」

 さらなるチームの進化へ。直近10年で7度の日本一、5度のリーグ優勝を果たしているソフトバンクだが、工藤監督はもっともっと上を目指している。