〝男・村田の遺言〟を生かせるか――。2021年から巨人・村田修一野手総合コーチ(40)が二軍から一軍に昇格する。

 18年の現役引退後、指導者として巨人に復帰し、翌19年から主にファームで若手育成に尽力してきた村田コーチ。いよいよ来季から原辰徳監督(62)の下でらつ腕を振るうわけだが、2年間のコーチ生活では選手に寄り添いながら時に怒声を浴びせつつ、泥くさく鍛え上げてきた。そんな中でも何度も説いてきたのが、プロ野球選手として生き残る「覚悟」だった。

 村田コーチは二軍戦で結果を残し、やや鼻が伸びた選手に対して、こんな言葉をかけてきたという。「お前の人生だからな。クビと言われたら、それで終わりなんだぞ!」。あくまでも目指すべきは一軍の舞台であり、現状に甘んじている若手にはすかさずカツを入れた。

 ただ、愛あるゲキの〝真のポイント〟は他にある。重要なのは、自身の体験談を交え、言葉に説得力を持たせることだ。

「『言っておくけど、俺はもうクビになってるから。(現役時代の)俺よりやれる自信があるなら、そのままやればいい。でも、俺よりできないと思うならもっと必死こかないと』と。これはクビになった経験がない状態で言っても選手に響かないと思うので。それぐらい強い気持ちでユニホームを着てほしいんです」(村田コーチ)

 横浜(現DeNA)時代には本塁打王に輝き、FA移籍した巨人でも中軸として活躍した。そんな村田コーチでも17年オフに巨人を自由契約となり、最後はBC栃木で現役生活に幕を下ろした。天国も地獄も味わった男だからこそ、その言葉には重みがある。価値ある助言を胸に、何人のヤングGが一軍に飛び立てるのか、注目だ。