楊枝秀基のワッショイ!!スポーツ見聞録
【DeNA・久保康友投手(33)】
今回、僕が注目したのは阪神からDeNAにFA移籍した久保康友投手(33)。実は彼、僕と誕生日が同じ8月6日なんです。まぁ、それはともかく、人気球団からの移籍を決断した真相など、いろいろ聞いてみた。
――FA移籍後の初勝利は、8日の阪神戦だったが、アウェーの甲子園で平常心で投げられたのか。虎ファンからのヤジはなかったのか
久保:全然。何か普通でした。特に盛り上がることもなく、プレッシャ―がかかるわけでもなく、ホンマに普通でしたね。もうちょっと(ヤジが)あるかなと思ったけどなかった。練習の時はスタンドから声が聞こえてきましたけど「頑張れよ」っていうのしかなかったですね。
――ある程度は覚悟していたよね
久保:そうですね。FAで阪神から出ていった選手があまりいないから周囲からは「強烈やぞ、絶対に」って言われていたんですよ。ところが、結局、別にそんな反応はなかったですよね。でも、例えば能見さんクラスが巨人に移籍するとかになったら強烈なんでしょうけどね。僕はBランク(FA時の年俸ランク)ですから(笑い)。
――そもそも移籍に至った理由はなんだったの
久保:新しい環境で新しい発見がしたかった。違う場所に行くと、ストレスがあるけど、その解消法を会得していく。多分、そこの能力が自分は相当高いと思う。環境を変えることをすごく恐れる人が多いと思うんですけど、そこで起こった問題を解決することで自分の力に変えていく。そういう感覚です。
――そういえばロッテから阪神にトレード移籍してきた時も生き生きしていた
久保:あの時、僕がもし、トレードで阪神に来てなかったら、ロッテにしがみついてた性格やったと思うんです。でも、阪神に来て、会社によってこんなに環境が違うんだ。こんな選手がいるんや、こんな練習もあるんやとか、新しいことを勉強することができましたからね。
――しかし、阪神を出る人は珍しい
久保:阪神は居心地はいいし、人気球団だし、給料面での待遇もいい。引退後もいい環境で阪神関係の仕事をさせてもらうという道もあったかもしれませんが、自分はそれは違うなと思った。みんな仕事が欲しいから巨人、阪神で終わりたいと思うもの。でも、仕事をさせてもらうのではなく、能力をつけて声をかけてもらえる存在になることが大事。そのためにはスキルアップを自分でしないと。
――ビジネスマンみたいだ
久保:ひとつの場所にしがみついて、がんじがらめで可能性をなくすより、環境を変えた方がいいと思うんです。野球界だけでも狭い世界ですからね。
☆ようじ・ひでき=1973年、神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」でプロ野球担当記者として活躍。巨人、ヤクルト、西武、近鉄、阪神、オリックス担当を歴任。2009年にはWBC取材班キャップとして2大会連続世界一を体感した。13年10月独立。ライター離れしたファッションセンスとトーク力で取材を展開。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれないフィールドに人脈を持ち、個性派路線を貫く。昨年12月にアメーバブログ「楊枝秀基のワッショイ!! スポーツ見聞録」を開設。今年4月2日には神戸・三宮にレストランバー「42」を開業した。