巨人 岩隈に「指導者オファーせず」の裏事情

2020年12月26日 05時15分

引退会見での岩隈と原監督。指導者の声がかからなかったワケは…

 原監督のように外から野球を見て大きく育ってほしい――。ケガからの復帰を目指していた巨人の日米通算170勝右腕・岩隈久志投手(39)が今季限りで引退した。指導者として期待されながら来季のコーチとしての入閣が見送られたが、そこには球団の〝親心〟があった。 

 岩隈は巨人在籍2年間で一軍登板ゼロに終わった。それでも近鉄、楽天、マリナーズと日米で活躍したレジェンドに対する球団としての敬意として11月7日のヤクルト戦(東京ドーム)後に引退セレモニーが行われ、ファンから大きな拍手が送られた。右肩や右鼠径部の手術で巨人では戦力になれなかったが、リハビリに励む傍らで若手にアドバイスする姿を目の当たりにした現場からはファーム巡回投手コーチやリハビリ担当コーチでの入閣が熱望されていた。

 だが、リーグ3連覇、日本一奪還を目指す来季のコーチングスタッフの中に岩隈の名前はなかった。なぜなのか。球団フロントは「岩隈については球団として1、2年勉強した方がいいんじゃないかという結論になった。ずっと野球界にいたわけだから、1回ユニホームを脱ぐ経験も必要。あれだけのキャリアがある選手は一度、外で勉強した方が今後の大きな財産になる」と〝見送り〟の理由を明かす。

 そこには全権監督である原監督の思いも込められている。今季、通算勝利数で川上哲治氏の1066勝を抜き、球団歴代1位となった名将にも〝武者修行〟時代があった。

 1995年に現役を引退した原監督はそのままユニホームを脱ぐと、96年からNHK「サンデースポーツ」のキャスターに就任。98年10月に長嶋政権の一軍野手総合コーチとなるまで3年間「お茶の間の顔」を務めている。原監督は指導者の勉強を始めた時期を「現役が終わってから、NHKでやっている頃じゃないかな」と振り返る。球界を外から眺めたキャスター時代はその後の土台作りに大切な期間だったという。

 今後について岩隈は「ひとまずゆっくりしたい」という一方で「いずれは野球の伝道師であるような存在でもいたいなとは思ってます」と指導者への興味を示している。当然ながら岩隈本人の希望が最優先されるが、巨人としては岩隈の成長をじっくりと待つ構え。マリナーズ時代の2015年に野茂以来となる日本人2人目のノーヒッターとなったレジェンド右腕は球界全体の宝でもある。

 ここ数年、巨人では18年の杉内(一軍投手コーチ)や19年の阿部(二軍監督)など引退後、間を置かず指導者となるケースが多かった。果たして将来、岩隈がどんな指導者となるのか、注目だ。