〝第2の岡本〟の誕生なるか――。巨人は今オフも背番号の大シャッフルを敢行した。来季支配下の10選手はリフレッシュして2021年に臨む。近年では岡本和真内野手(24)が背番号38から25に変更して大ブレークしたが、一方で番号の重圧に耐えかねて潰されてしまったケースもある。


 今や原巨人の恒例行事となりつつある背番号の大シャッフルが今オフも行われた。投手では近未来のエース候補・戸郷がFA戦士・梶谷の加入によって「13」から過去に定岡やマシソンらが背負った「20」、左腕の今村は師匠の内海(現西武)がつけていた「26」に変更された。来季3年目の高橋は「26」から工藤や山口鉄といった偉大な先輩左腕が背負った「47」になった。野手では〝育成の星〟と称された松本哲の系譜をたどる育成出身の松原が「31」となるなど、さらなる飛躍が期待されている。

 ただ、新背番号を自分のものにできるかは本人次第だ。近年では岡本が背番号のプレッシャーを見事に跳ね除けた。入団時は長嶋終身名誉監督の「3」と原監督の「8」を合わせた「38」だったが、17年オフに「25」に変更。同年限りで巨人を自由契約となった恩師・村田から継承し「情けないことはできない。やらなアカン」と奮起し、18年から4番に定着。史上最年少で打率3割、30本塁打、100打点をマークした。以来、3年連続で30発超えを果たし、今や「25」は岡本の代名詞となった。

 一方で、期待とは裏腹に〝重すぎる背番号〟が文字通り重荷となったケースもある。08年ドラフト1位の大田(現日本ハム)には松井のメジャー移籍から「準永久欠番扱い」となっていた「55」をあてがわれたが、巨人ではブレークすることなく13年オフに剥奪されて「44」となった。

 似たようなパターンでは19年オフに日本ハムを自由契約となり、12球団合同トライアウトを経て育成契約で巨人入りした田中豊がいる。今年7月に支配下登録され、背負ったのは上原や菅野らがつけた「19」。プロ最多の31試合に登板して〝爪痕〟は残したが、来季から「59」を背負う。田中豊にも「19番という重い背番号をつけさせてもらった」との思いはあったようだが、球団側からは「その番号を変えることによってノビノビとやってくれれば」と声をかけられたそうで心機一転を誓っている。

 それぞれに期待や歴史が交錯する背番号物語。来季はどんなストーリーが書き加えられることになるのか――。