【藤井康雄連載コラム】イチローの今後は監督じゃなくて「球界の旅人」!?

2020年12月23日 11時00分

ファンに手を振るイチロー。45歳で現役を終えた

【藤井康雄「勇者の魂」(40)】2019年3月21日、マリナーズのイチローが45歳で引退を決めました。日本で3割、200安打が当たり前みたいになって、それをメジャーでも当たり前みたいにしたもんね。200安打を10年も打ち続ける、やり続けることがすごいですよね。04年には年間の安打数の世界記録(262安打)を塗り替えるんだから…。そこまで毎年よくモチベーションが続くもんだと感心するよ。僕なんか1試合4打席の中で「この打席はいらんわ」みたいな時って出てくるんです。集中するココイチの打席じゃない時に気持ちが緩むことはありますよ。

 それは3割打者と2割打者の違いかなあ。ソフトバンクの内川聖一だってあれだけ打ってるのに「10割打ちたい」って言うんです。毎年3割打ってるような選手は「全打席でヒット打ちたい」という感覚になるんでしょう。イチローもそう。それをするために普段の練習に取り組んでいるし、野球に対するしつこさですね。

 普通の選手は野球に集中する時、遊ぶ時っていうメリハリがあるのに、私生活からすべてが野球につながっている。国民栄誉賞を断るのも…イチローたるゆえんじゃないのかな。普通は「ありがとうございます」ってなるけどね(笑い)。悪いことできなくなるしねえ。3月21日の東京ドームの試合後の引退会見もイチローらしい言葉で話していましたね。人に常に見られ、そこを意識した発想力というか、極めた者しか出てこないような言葉でしたね。

 今後は…監督というイメージは湧かないですよ。ちゃんとした采配はするんだろうけど、例えばそのチームが弱ければ彼の経歴に傷をつけちゃうことにならないかなって。ある意味、彼は伝説なんでNPBだけじゃなく、マリナーズに籍は置きながらでも野球界全体を見てほしいと思いますね。

 昨年12月に学生野球の資格回復研修に来ていたし、アマチュア指導は視野に入れていると思う。僕も行ってて、まさかイチローがいるとは思わなかった。なんで来ているのかは聞かなかったよ。あとで報道陣に「イチローと何を話したか」ってすごい聞かれたけどね(笑い)。でも少年野球を含め、何か考えがあって資格回復したわけですからね。手始めに神戸で草野球なんじゃないの?

 1球団の監督というんじゃなく、全国を回るのがいいんじゃないですかね。少年野球、高校、大学とどこでも行って指導する。各地を巡回していけば球界のためになるし、そんな人はいないでしょう。イチローが来てくれたらたとえ短期間でもすごく喜ばれるだろうし、そんな形で貢献するのはいいんじゃないかな。

 思えば素晴らしい打者をたくさん見てきました。門田博光さん、イチロー、西武・清原和博、秋山幸二、ソフトバンクの打撃コーチ時代には内川がいた。みんなすごかったですよ。

 ☆ふじい・やすお 1962年7月7日、広島県福山市出身。泉州高(現近大泉州)から社会人・プリンスホテルを経て、86年のドラフト4位で阪急に入団。長距離砲としてブルーサンダー打線の一角を担った。オリックスでも95、96年の連覇に貢献。勝負強い打撃が持ち味で、通算満塁本塁打(14本)は歴代3位。代打満塁本塁打(4本)は日本記録。2002年に引退後はオリックス二軍打撃コーチ、11年からソフトバンクで一軍打撃コーチを務め、18年にオリックスに一軍打撃コーチとして復帰。今年から総合建設業「共栄組」に籍を置き、JSPORTSの解説、神戸中央リトルシニア、関西創価で指導している。

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