二塁手として史上初のシーズン無失策を達成した広島・菊池涼介内野手(30)だが、実は一度だけ8月11日の中日戦(マツダスタジアム)で〝失策〟を記録している。

 3回表のことだった。二死走者なしから京田の放ったライナーに飛びつくも、打球が空中で不規則な変化をしたため捕球できず、スコアボードにはEランプが点灯。翌日の新聞各紙のテーブルにも「失策 菊池涼1」と記載された。

 しかし、翌日になって事態は急転した。当該試合後に中日側から「あれは安打ではないか」と見直し要求があり、一夜明けて公式記録が「二失」から「中前打」に訂正されたのだ。

 ルール上、球団からの要請により後々、公式記録を見直すことは可能となっているが、実際に覆されるのは異例のこと。広島の球団関係者は「公式記録員の方も自信を持って判断されている。微妙に見えるものでも変更になるということはほとんどない。それが変わったというのは、菊池の守備力でも捕れないなら…というある種の信頼があるからだろう。菊池以外では起こり得ないのでないか」と分析する。その守備力の高さが中日を動かし、公式記録さえも変えてしまったという見解だ。

 今季が4年契約の1年目だった菊池涼は21日の契約更改交渉で現状維持の年俸3億円プラス出来高払いでサインし「(守備率が)10割だったからよかったというわけではなく、やっぱりチームが勝たないといけない」と5位に終わったシーズンを振り返った。「僕らしく泥臭くその試合で何かできたらいい」。V奪還を目指す来季も達人の守備は欠かせない。