中日・祖父江大輔投手(33)が“吉見魂”の継承に張り切っている。30ホールドポイントを挙げて最優秀中継ぎに輝いた7年目右腕は「素直にうれしいです。コロナの影響があって大変なシーズンだったけど、(2か月間)試合ができない中、しっかり調整することができた」と喜びを語った。

 今季はチーム最多の54試合に登板しながら圧巻の7与四球で、2勝3セーブ、防御率1・79と安定感が際立ったが、新球シュートのおかげがある。

 もともとは朝倉チーム統括本部編成部プロスカウトの投手コーチ時代に教えてもらったことがきっかけだったが、今季限りで引退した吉見一起氏(36)のアドバイスが効果てきめんだったという。

「吉見さんも今年はシュートを投げていたので、どういう感覚で投げているのかを聞いた」と明かす。具体的には、打者のヒザ元を目掛けて投げていることや、そんなに曲げようと思っていないことなどを教えてもらい「完璧ではないが、ちょっと投げられるようになったかな。シュートを覚えてから、球数が少なく打者を抑えることができた」。今季はシュートで投球の幅が広がり、自信のあるスライダーで打ち取る機会が増したことでゴロアウトを積み重ね、被本塁打はわずか1だ。

 トヨタ自動車の先輩でもある吉見氏を尊敬してやまない。「野球に対する真面目さ。練習の取り組み方。すごいチーム愛を持っていたところは見習いたい。技術的なことでは、やはり制球。フォームはいつも研究しているし、そういうところは見習って僕も毎年フォームを変えている」という。

 吉見氏がチームを去ったことで今後は祖父江が後輩に伝える立場として期待される。「吉見さんみたいには難しいが、少しでも吉見さんのような先輩になれたらいい。追いつけるように頑張りたい」と意気込んでいる。