独自路線を貫く西武スカウトの眼力が改めて証明された。パ・リーグの最優秀新人賞を受賞した平良海馬投手(21)は2017年のドラフト4位で沖縄・八重山商工から西武入り。3年目の今季は中継ぎとして54試合に登板し1勝1セーブ33ホールド、防御率1・87。計53回で62三振を奪い奪三振率10・53をマークした。

 平良は「新人王と聞いた時は、とてもうれしかったです。シーズン当初はこんなにいい成績を残せるとは思っていませんでしたので、数字的にも満足しています。非常に内容の濃い1年でした。来年は今年以上の活躍ができるように頑張ります」と受賞の喜びを語った。

 西武からの新人王は2017年の源田以来3年ぶりで、投手では11年の牧田以来。沖縄県出身選手の新人王は史上初となったが、160キロ右腕の戴冠は球団の今後のドラフト戦略に自信を深める結果となった。

 ドラフト上位指名(1~3位)の主力定着率には定評のある西武だが、特に投手の育成強化の必要性に迫られる近年、下位指名(4位以下)からいかに掘り出し物を発掘するかをテーマとしてきた。

 そんな折、昨年は16年のドラフト5位・平井がパ・リーグの最多登板記録を更新する81試合登板を果たし、今年は17年4位の平良が新人王、18年6位の森脇も47試合に登板し7勝1敗16ホールド、防御率1・35と飛躍を遂げた。

 中でも八重山の剛腕・平良は編成、スカウトが県大会などではなく、わざわざ石垣島で行われた高校の練習試合に足を運び見定めた逸材。関係者が「初回の投球練習でいきなり148キロを投げて、試合が始まると152キロのストレートを投げていた。もちろん高校生だから変化球の精度はアバウトだったけど、左打ちの打撃も良かったので素材としては一級品だった」と振り返る隠し玉だった。

 3年で大きく飛躍した平良の成功を喜んでいるのはスカウト、編成陣も同じだ。