巨人・阿部慎之助二軍監督(41)が早くもやる気満々だ。就任2年目となる来季も「罰走」を行うと宣言するなど厳しい指導方針は継続される。そこで心配されるのが、今季は村田修一野手総合コーチ(39)が引き受けていた〝特殊任務〟を誰が引き継ぐか。熱血指導を支える重要な役割であり、12年ぶりに復活した二軍ヘッドコーチに就任した金杞泰氏(51)にかかる期待は大きい。

 来季も戦力供給源となれるのか――。今季は多くの若手を一軍に送り込んでリーグ2連覇に貢献したが、就任2年目に向けた阿部二軍監督の思いは半端ではない。11日の「シーズン感謝祭」では「また罰走をバンバンやらせたいなと思います」と〝アベ節〟をさく裂。「罰走」については、今季中にカブスのダルビッシュが否定的な意見をSNS上で発信して話題となったが、鬼軍曹はそれも見越して「ダルビッシュ君にチクチク言われて、いろいろ賛否両論をいただいて頑張っていきたい」と言ってファンをわかせた。

 もっとも「罰走」させること自体が目的ではない。阿部二軍監督が「とにかく二軍には絶対行きたくないというぐらい」としたように〝嫌だったら一軍に行け!〟とのメッセージが込められている。普段は若手と笑顔も交えながらフランクに接し、ここぞという時にペナルティーを科すことで二軍全体に緊張感を生んできたのも確かだ。

 こうしたアメとムチの使い分けを陰ながらサポートしてきたのが、村田コーチだった。現役時代はともに巨人の中心選手として中軸を支え、阿部二軍監督の性格は熟知している。その鬼軍曹の怒りに火がつき、万一にも限界を超えて制御不能に陥った場合を想定し、実はこんな覚悟を固めていた。

「阿部さんも分かっていると思いますが…」と前置きした上で「(もし選手を)殴りそうになったら、僕が間に入ります。(自分なら)止められます」。要するに阿部二軍監督の怒りのバロメーターをチェックしつつ、有事の際は自らが最後の防波堤として〝人柱〟になるつもりだった。

 ただ、村田コーチは来季から一軍の野手総合コーチに転身する。そこで新たに鬼軍曹のブレーキ役を託せる人材として適任なのが、新二軍ヘッドの金杞泰氏だ。現役時代に韓国で通算249本塁打をマークし、引退後はLGや起亜の監督などを歴任。阿部二軍監督とは2007年から3年間、巨人のファームのコーチを務めたころから厚い信頼関係で結ばれている。近未来の若手スラッガー育成に加え、指揮官の〝お目付け役〟という重要な役割を担うのは自然な流れだろう。

 指導者を1年間経験したことで阿部二軍監督もさじ加減は十分理解していると思われるが…。果たして新コンビはどんな育成手腕を発揮するのか注目だ。