内川の凄みとは…田中将が「他の打者とは全く違う」と〝証言〟

2020年12月08日 14時00分

内川の打撃センスには楽天時代の田中(左)も舌を巻いていた

【赤坂英一 赤ペン!!】ソフトバンクを戦力外同然で退団した内川聖一内野手(38)が、来季はどんな復活劇を見せるか。日本シリーズでソフトバンクに4連敗した巨人がどう巻き返していくのか、と同じくらい興味がある。

 これまでいろいろなタイプの打者にインタビューしてきたが、内川ほど独特の感覚の持ち主はほかにいない。例えば、好打者は大抵バットを1種類に決めているのに、内川は形状も芯の位置も異なる3種類から5種類のバットを使っていた。

「それでも何かしっくりこないときは、試合中に他の選手のバットを借りたりしてます」と、平然と言うのだから驚いた。

「なぜそうなるか。ほとんどの打者は自分の最もいい形で打とうとして、フォームを固める。そういう練習を重ねるうち、必然的にバットも1種類に決まってくる。でも、僕の場合は、そのいい形を崩されたときに、どう打つかを考えています。だから、打ち方もバットも変わってくるんです」

 実際、前日感触のよかったバットでも、翌日には平気で変えてしまう。

「しっくりこないとき、昨日と同じバットでもいいや、と考える自分が許せないんです。その日、その試合の感覚を大事にするのなら、常に変えていかないといけません」

 2011年の日本シリーズでは、ヒット7本のうち3本を、今宮健太のバットで打ったそうだ。そんな内川と対戦し「他の打者とはまったく違う」と言っていたのが、楽天時代の田中将大(32=ヤンキースからFA)である。

「どんなに体勢を崩されても、自分のポイントに呼び込んで捉えることができますよね。しかも左へ引っ張るだけでなく、状況によって右へも強い打球を打てるんだから」

 楽天時代の田中は一度だけ、内川と会話を交わしたことがある。内川のこんな言葉がずっと印象に残っているそうだ。

「俺、調子がいいときは、勝手にタイミングが合っちゃうんだよ。そういうときは、どんな投手でも打てそうな気がする」

 当時、そう言っていた内川を田中が警戒していた理由がもうひとつ。「内川さんが打ったら、ソフトバンクのチームがノってくるんです。相手の勢いを封じ込めるためにも、絶対に抑えなきゃいけない打者だと思う」

 かつてはソフトバンクでそれほどの中軸だった内川が、来季は移籍先でどのような存在感と影響力を発揮するか。これも大きな見どころだろう。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。