今年8月に支配下契約を勝ち取ったソフトバンクの渡辺雄大投手(29)が3日、福岡市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の600万円でサインした。

 2017年ドラフト育成6位入団の左腕は「今年始まった時は内容よりも(背番号が)2ケタにならないと次はないと思っていた」と悲壮な覚悟でシーズンイン。8月31日に支配下昇格を果たし、9月4日のロッテ戦で念願の一軍デビュー。だが、同9日の楽天戦で左ヒジを痛めて緊急降板するという激動の1年を過ごした。

 常勝軍団の「戦力」に加わった記念すべきシーズンだったが、左腕の中にあるのは未来への危機感だ。チームの日本一の瞬間を見守りながら「このメンバーとまた勝負しないといけない」と、待ち構える激しい生存競争を前に気は引き締まっている。

 10月には第1子となる女児が誕生。夫人をおもんぱかっての里帰り出産だっため、まだ愛娘を抱くどころか、生で見ることさえできていない。テレビ電話で成長を確認しているといい「めちゃくちゃかわいいです」とパパの顔を見せた。

 それでも最後は勝負師の顔に切り替わり「僕の成績で、この子を路頭に迷わせることだけは絶対にしたくない。来年40試合くらいは投げたい」と立身出世を力強く宣言。独立リーグからプロ入りした苦労人が、まだ見ぬ愛娘に4年目の飛躍を誓った。(金額は推定)