国内FA権を取得し去就に注目が集まっていた広島・田中広輔内野手(31)が30日、正式に残留を表明した。マツダスタジアムで会見を行った背番号2は「やっぱりカープというチームが好きですし、今まで戦ってきた仲間とまだ野球がやりたいという気持ち」と晴れやかな表情を浮かべた。
今後の交渉により契約は2年総額4億円程度の複数年となる見込み。鈴木球団本部長が「このご時世だし、彼の成績から見るといい条件ではない」と明かすように、コロナ禍の影響により大盤振る舞いとはいかなかった。それでも球団からの最大限の〝誠意〟に「金額というより、今までやってきたことをしっかりと評価していただいて、もう一回やってやろうという気持ちになれた」(田中広)とチームへの愛着が上回っての残留となった。
その目はすでに来季を見据えている。選手会長に就任しV奪還を目指した今季、チームは投打がかみ合わず5位に低迷。悔しさを味わっただけに「何とかもう一回強いカープをと、いう思いがある。やってやろうという気持ちしかない」と3連覇時のような常勝軍団になるべくリーダーとして力を尽くすつもりだ。
選手としてもさらなる進化を目指す。右ヒザ手術から復帰した今季は打率2割5分1厘、8本塁打、39打点に終わり「数字を見ても分かるように納得いくところはなかった」と辛酸をなめたが「疲労がたまると違和感があったが、8、9月になってそういうのが減っていた。不安がなくプレーできた」と来季への手応えをつかんだ一年でもあった。「言動で引っ張っていきたい」という田中広。3年ぶりのリーグ制覇そして37年ぶりの日本一に向けてフル回転するつもりだ。(金額は推定)