【復刻!ノムさんのボヤ記㉔】今年2月11日に亡くなった、野村克也さんに感謝と敬意を込め、楽天監督最終年となった、2009年シーズンのボヤキを一挙公開! シーズンも終盤へ。さまざまな人がノムさんの元にあいさつに訪れるなか、ある日、知人に電話を渡され話した人物はまさかの超大物だったとか。また教え子の長嶋一茂氏に説いたのは…。1年間完全密着で抽出した珠玉のボヤキの数々を、当時を懐かしみながらお楽しみください。

 ◆9月15日 日本ハム戦(札幌ドーム) 試合前

(稲葉篤紀氏がベンチにあいさつに訪れた)

 野村監督 やせたんじゃないのか?

 稲葉 ちょっと体調を崩しまして。

 野村監督 4番は休んじゃいけない使命があるんだよ。

 稲葉 自分、3番です…。

 野村監督 …。梨田(昌孝監督)に言っとけ。楽天はメッキがはげてきた。ケツに火がついちゃったよ。日ハムはこの前、西武に勝って勢いつけたんだよな。

 稲葉 いえ、3連敗しました。

 野村監督 …。そっからだよ、西武が調子良くなったのは。八百長しやがって。けしからんな、アンチ野村ばっかりや。それでお前らが次、ウチに3連勝するんだろ。

(試合は2―5で敗戦。岩隈久志が後半戦初黒星。報道陣の多さに)

 日本シリーズはやってないよ。どうしたんだ、このカメラ。いつも1台だろ。何で多いんだ? 楽天負けたからか。

 ◆9月16日 日本ハム戦

(試合は7―3で勝利)

 しぶといな日ハム。あっさりギブアップしろ、コノヤロー! 梨田ってやっぱりA型だな。あの継投がA型だよ。A型は苦手。梨田は楽天を意識してるのかな。西武戦と全然違う。アイツ、(CSに)ウチが出てきたら嫌なんだろ。だから、西武にわざと負けてさ。そのうち罰当たるよ。天罰が下るぞ。

 ◆9月17日 日本ハム戦 試合前

 昨日、ススキノに行ったよ。一緒に行った人が電話好きでよ。どっかに電話しちゃあケータイを(自分に)渡してくる。「初めましてどうも」って言うんだけど、誰としゃべってるかわからん。「誰、今しゃべったの?」って聞いたら、アントニオ猪木だったよ。なんか「いっぺん東京で一緒に飲みましょう」って言ってたな。

(試合は4―5で敗戦)

 少年野球をお見せしました。(ホーム突入をためらった)内村(賢介)少年の判断ミスや。話になりませんよ。昔から俊足はチョンボが多い。

 ◆9月18日 ロッテ戦(Kスタ宮城)

(試合は9―5で勝利。田中将大が14勝目)

 今日は攻撃の方は言うことないんだけど、マー君が心配だね。5回で100球超えてるようじゃダメだ。本当はここんとこリリーフ陣が登板過多になっているから休ませたかったんだけどね。

 ◆9月19日 ロッテ戦 試合前

(王貞治氏の交際相手について週刊誌が報道)

 王の相手は50代女性だって? 変わってるな。オレなら20代と再婚するけどな。若すぎる? そうかな。しかし、眠いな。低血圧が影響してるって? オレ、高血圧だもん。上が180ぐらいで下が100以上。いつポックリいくかも、分からんな。まあいつ死んでもいいか。74年も生きてりゃ十分だろ。

 ◆9月20日 ロッテ戦 試合前

(長嶋一茂氏がベンチを訪れた)

 野村監督 やせたな!

 一茂氏 気苦労が…冗談です。ダイエットしてるんですよ。1日1食。そうすることで非常に体調がいいんですよ。

 野村監督 それは体に良くないな。食べてやせないと。ところで親父さんは元気か?

 一茂氏 はい。だいぶ良くなりました。最近は週3回近くの公園でウオーキングをしています。少しアップダウンのあるところも、大丈夫になってきました。

 野村監督 お前は講演とかやるの? 

 一茂氏 無理ですよ。

 野村監督 2時間しゃべるのは大変だけど、お前の場合は簡単やろ。巨人と親父の話をすればいいんだから。それでオレの悪口で締めればいい。

〈毎週日曜「東スポWeb」掲載〉