本紙評論家・加藤伸一氏 巨人になかった「つなぐ意識」結果は必然

2020年11月26日 11時30分

やっぱりソフトバンクは強かった

【インハイ アウトロー 加藤伸一】両チームに明らかな差があったことは言うまでもないだろう。バットスイング、球速、走塁、守備…すべての面でスピードが段違いだった。一つひとつのプレーに対する意識の差もそう。テレビの解説やスポーツ紙上の評論で、セ・リーグ球団出身のOBがデスパイネやグラシアルでも一塁へ全力疾走している点を「ここが巨人との差」と指摘していたことにも驚いた。そもそも一塁への全力疾走などリトルリーグでも徹底していることだ。

 何事にも妥協しない姿勢は、現球団会長の王監督の時代から小久保や城島、井口、松中らを経て現在まで脈々と受け継がれている。監督やコーチが指摘するまでもなく、選手間でも注意し合う。若手の突き上げも激しいからベテランだって気を抜けず、レギュラーだからとあぐらをかいている選手は一人としていない。

 目標は常に日本一。そのために何をすべきか、選手個々が考えている。第4戦では両チームの違いを象徴するシーンが初回にあった。3連敗で打順を大幅に変更した巨人は1番若林、2番坂本の連続二塁打で今シリーズ初の先制点を奪った。しかし、3番に入った丸は2球目を打ち上げて一邪飛。岡本もカウント1―2から143キロ直球で空振り三振に倒れた。

 丸は第3戦の最終打席でノーヒットノーランを阻止する安打を放っていたが、試合前の段階で打率1割8分2厘。シリーズ全体の流れを変える意味でも2点目は重要で、犠打や進塁打で岡本に託した方が得点につながる確率も上がったはず。結果はともあれ、巨人には今シリーズを通じて“つなぐ意識”が見られなかった。

 一方のソフトバンクは一死二塁から柳田の逆転2ランが飛び出した。決して“たまたま”ではない。ソフトバンクでは柳田だろうとグラシアルだろうと、このような場面では右方向に打って最低でも走者を進めるという意識が徹底されている。左打者である柳田が畠のフォークを捉えて右翼席に放り込んだのは引っ張る意識があったからだ。

 巨人が2年連続で4タテを食らい、各メディアでは「セとパの差」が議論されている。一つ言えるのは、強いソフトバンクを倒そうと楽天は大金を投じて選手を集め、ロッテは知恵を絞って立ち向かい、結果としてリーグ全体のレベルが上がっているということ。高校野球に例えるなら日本シリーズは甲子園大会であり、全国制覇を目指すならセの球団であっても打倒ソフトバンクを標榜すべきだと思う。