【日本一独占手記】ソフトバンク・周東「今の自分は想像以上。でも僕の代わりはいくらでもいる」

2020年11月26日 05時15分

ウイニングボールを甲斐に渡す周東

 ソフトバンクが4年連続日本一を2年連続日本シリーズ4勝0敗の快挙で飾った。25日の第4戦(ペイペイ)、4―1で巨人に勝利して決めた。偉業を成し遂げたチームの1番打者に定着したのが韋駄天・周東佑京内野手(24)だ。レギュラーシーズンでは50盗塁をマークして育成出身初の「盗塁王」に輝き、13試合連続盗塁の世界記録も樹立。飛躍した鷹のスピードスターが本紙に独占手記を寄せた。

 ファンの皆さん温かいご声援ありがとうございました。僕にとっては初めてのリーグ優勝からの日本一。達成感と感慨深いものがあります。日本シリーズは第2戦まで打つ方で結果が出ませんでした。柳田さんに「全然打てないです…」と打ち明けると「おまえはシーズンでちゃんと結果を残して貢献してきたじゃないか。だから大丈夫だ」と声を掛けていただきました。先輩方が伸び伸びとプレーできる雰囲気をつくってくださっていることに感謝しています。こうやって1年間試合に出て、いろんな経験をさせてもらえたのは首脳陣の方や先輩の方々、裏方さんや支えてくださる関係者の方々のおかげです。

 育成入団から3年、今の自分は想像以上です。大卒の育成選手は一年一年が勝負で猶予はない。昨春に支配下昇格しましたが、安堵する余裕はありません。なぜなら、下からの突き上げがあるからです。僕の代わりはいくらでもいる。その思いはきっとこれからも変わりません。

 リーグ優勝の際、王球団会長に「今年は何といっても周東」と名前を出していただいたことを知り、大変光栄でした。「育成選手の活躍が後輩の励みになる」という言葉を聞いたこともあります。王会長はファームの拠点がある筑後にも足しげく視察に行かれます。王会長をはじめ球団フロントの方々の「目」が育成にも行き届く。「常に見られているんだ」という意識は選手にとって何よりの緊張感であり、モチベーションです。施設を含め素晴らしい環境を用意していただき、自分の努力次第で上に行ける。ホークスに入ったからこそ、今の僕があると断言できます。きっと目をギラつかせた後輩たちが、これからもどんどん上がってくるんだろうと思います。だから、僕はそれに負けるわけにはいかない。激しい競争と周囲から受ける強烈な刺激は、ホークスの強さの秘密だと思います。

 今年、僕は「変わりたい」と強く思いました。一軍出場が増えると同時に新たな壁にぶち当たる。1つ上に行けば次の壁があります。変わらなければ生きていけない。周囲を見渡せば、最高峰のプロ野球。手本はいくらでもあります。引き出しを増やすことは自分の財産。行動するのは自分次第です。僕が理想とする選手の一人が日本ハム・西川遥輝選手。9月の札幌遠征の2日目に西川選手に「どうしてそんなに塁に出られるんですか。どういう意識で打席に入ってるんですか」と質問しました。時間に余裕がなく、遥輝さんが「分かった。また時間がある時に来て」と言ってくださった。それで早く聞きたくて、翌日の試合前に直撃しました。シーズン中ですし、言える範囲内でアドバイスをくださった遥輝さんには本当に感謝しています。いろんな人の視点や考えを知ることは、レベルアップのために大切。僕も他球団の選手に声を掛けられる機会が増えてきました。野球界の発展、個々が切磋琢磨する上で、できる範囲の交流はいいことだと思います。

 コーチ陣の指導、使ってくださる監督のおかげで、大きな舞台で素晴らしい経験をさせてもらっています。自分の武器を生かして、これからもチームに欠かせない存在でありたいと思います。

 最後に、この場をお借りして家族にも感謝の思いを伝えさせてください。野球をやらせてくれた両親、僕のために小さい時に我慢を強いらせてしまった妹たちに「ありがとう」と言いたいです。昔、父に言われた「野球ができるのは、妹たちの犠牲があるからだぞ」という言葉は、決して忘れることはありません。応援や野球チームの父母会などの活動もあり、土日は僕にかかりきりだった両親。きっと姉や妹2人は行きたいところもあったはず。ふびんな思いをさせてしまい、申し訳なかった。プロ野球の世界で活躍して、少しでも恩を返していきたいです。

 感謝を忘れず、初心を忘れず――。これからも常勝ホークスの一員として、1つでも多くの勝利に貢献していきたいと思っています。

(福岡ソフトバンクホークス内野手)

☆しゅうとう・うきょう=1996年2月10日、群馬県太田市生まれ。小学2年の時に藪塚リトルファイターズで野球を始める。東農大二高から東農大北海道オホーツクを経て、17年の育成ドラフト2位で入団。19年3月に支配下昇格。同年にチームトップの25盗塁。第2回プレミア12で日本代表に選出。今季後半はレギュラーに定着して打率2割7分、1本塁打、27打点。50盗塁で育成出身初の盗塁王に輝いた。179センチ、70キロ。右投げ左打ち。