試合終了の瞬間、巨人ベンチは長い沈黙に包まれた。3連敗の崖っぷちで迎えた日本シリーズ第4戦は1―4。2年連続4連敗を喫し、球団ワーストタイとなるシリーズ9連敗の屈辱劇で幕を閉じた。1989年以来の逆転日本一はどこからも転がってこなかった。

 王手をかけられた原辰徳監督(62)は「もう前に行くしかない」と打線を大幅に改造。「2番・坂本、3番・丸、4番・岡本」の「サカマルオカ」を復活させると、エース菅野もベンチ入りし総力戦の構えを見せた。

 策はいきなり奏功し、初回、鷹先発・和田から先頭・若林が二塁打、坂本が左翼フェンス直撃の適時二塁打を放ち、4戦目にして初めて先制に成功した。

 このままリードを守っていければ…。そんなG党の願いはその裏、あっさりと打ち砕かれる。プロ4年目でシリーズ初先発となった畠が一死二塁から柳田に初球のフォークを右翼席に弾丸ライナーで運ばれた。わずか12球で逆転を許すと、2回にも甲斐に2ランを被弾。2回途中34球4失点でKOされた畠は「先制していい流れになったところで、自分が粘り切れずに悔しいです」と肩を落とした。 

 前日の第3戦でリーグワーストの1安打敗戦を喫した指揮官は「全員が悔しい思いをしている。目が覚めたら覚醒しているということになってもらいたい」などナインの奮起を期待したが、肝心のテコ入れ打線がその後振るわない。主砲・岡本がこの日もブレーキとなるなど2回以降はゼロ行進。和田を2回で降ろした鷹の継投の前になす術なく屈した。

 終わってみると今シリーズ初めて見せた〝意地〟は初回に1点を先制したことだけ。まさに悪夢…。今年最後の試合も悔しさだけが残った。