【パCS・第2戦】鷹をコロナ禍から救った中村晃の〝模範行動〟自粛期間中もMVP

2020年11月16日 05時15分

MVPに選ばれたソフトバンク・中村晃

 初回に先発の東浜が3失点。暗雲を振り払ったのが中村晃だった。「(東浜)巨に助けてもらった試合もたくさんあったので、負けをつけるわけにはいかない」と2回に1点差に迫る2ランを右翼席に放って反撃ムードを醸成すると、4回にも2打席連発の逆転2ランを再び右翼スタンドへ――。2位タイのCS通算8本塁打でチームに勝利を運び、今シリーズ最優秀選手(MVP)に輝いた。

 前日の2番から7番に仕事場を移したレフティースナイパーが、首脳陣の期待に応える大暴れ。優勝監督インタビュ―で工藤監督から「あの2本のホームランがチームにも投手にも、そしてファンの皆さんにも大きな勇気になったと思う。素晴らしいホームランだったよ、晃! おめでとう」と直接感謝を伝えられた。

 チャンスメーカー、つなぎ役、ポイントゲッターと高い汎用性を誇り工藤監督に絶大な信頼を寄せられている。今季も1~7番の打順を幅広く任された。2番打者としては周東の快足をアシスト。柳田が勝負を避けられ打線が寸断されると「つなぎの4番」として機能した。この日は今季1度しか起用されていない7番での出場。結果は見事な4打点だった。

 今季チームは12球団最多113通りものオーダーを採用。将が勝負手を打てるのも、中村晃がいてこそだった。

 グラウンドを離れても、その存在は際立つ。今季から選手会長に就任。気配りが行き届き、視野の広い31歳は前例のないコロナ禍のシーズンでナインのかがみとなりチームをけん引した。

 開幕が延期された直後の自主練習期間には小さな体調の異変さえ「万が一のこと」を頭に入れて生活を送った。自らの感染を疑ったときには、球団で義務づけられたPCR検査でも午前に割り当てられた選手だけの指定時間に現れず、スタッフや関係者の検査までが全て終了した一番最後に単独で向かう細心の注意を払った。

 そんな模範的な行動は「Withコロナ」のシーズンでチーム内の「意識共有」をさせることに一役買い「あの行動には本当に頭が下がったし、啓蒙につながった」(球団関係者)と感謝。8月には長谷川が新型コロナに感染したが、迅速かつ模範的行動につながり感染が広がることはなかった。

 MVPなど賞金総額200万円を獲得。その使い道について「(平時なら)みんなで食事といきたいところですが…」と苦笑い。「良かったと言えるのは日本一になってからですが、ここまでみんなが頑張ってこれたということは僕も自信になりますし、選手会長になって良かったなと思います」

 日本一へ、常勝の鷹に中村晃あり――。