【パCS・第1戦】ソフトバンク千賀―甲斐の配球に疑問「安田への〝半速球〟はナンセンス」前田幸長氏

2020年11月14日 19時10分

2回二死、千賀は安田(手前)に一時逆転の2ランを浴びる

 パ・リーグCS第1戦(ペイペイ)はペナントレースを制したソフトバンクがロッテに4―3で逆転勝ちを収め、日本シリーズ進出へ王手をかけた。ソフトバンクはエース千賀が序盤でリードを許す苦しい展開ながら、相手のミスを突いて集中力を発揮し、試合をひっくり返したが…。本紙評論家・前田幸長氏は鷹のエースへ、あえて辛口評価を下した。

【前田幸長・直球勝負】さすがはエースと言いたいところだが、絶対的存在の千賀だからこそあえて苦言を呈したい。やはり触れなければいけないのは、2回二死一塁で安田を迎えた場面である。

 初球はインコースをエグるような155キロで空振り。この入りはとても良かったが、問題は2球目だ。136キロのフォーク。やや抜けた感のある半速球は高卒3年目の安田にとってもかなりおいしいボールだったはずだ。ドンピシャのタイミングで右翼席へと運ばれてしまった。

 千賀と甲斐のコンビは〝黄金バッテリー〟とも称されるが、この攻め方はナンセンスな配球だったように思う。相手の安田は確かに成長著しいものの率直に言えば、まだまだ千賀クラスの真っすぐを芯でとらえる確率が非常に低い。その観点から解釈しても、不用意な半速球を投じたシーンにはどうしても首をかしげざるを得なかった。

 レギュラーシーズン以上に短期決戦はたった一球が勝負の分かれ目になる。この日は勝ったから結果オーライ。だが、もし安田の先制2ランでロッテに逃げ切られていたら千賀、そして甲斐にとって2回の〝バッテリーミス〟は悔やんでも悔やみ切れないトラウマになっていただろう。

 そういう意味では同点の8回二死満塁から甲斐が遊撃への当たりを執念のヘッドスライディングで勝ち越しV打につなげたことは、全てを帳消しにする上で大きかったと言える。

 たとえ千賀、甲斐のような経験値の高い選手たちであっても、魔物が潜むポストシーズンでのプレーは重圧がかかる。きっと2人は若武者・安田の一発によって目を覚まさせられ、それを痛感したはずだ。(本紙評論家)