パ・リーグCS第1戦(ペイペイドーム)はペナントレースを制したソフトバンクがロッテに4―3で逆転勝ちを収め、日本シリーズ進出へ王手をかけた。エース千賀が序盤でリードを許す苦しい展開ながら、相手のミスを突いて集中力を発揮し、試合をひっくり返した鷹軍団。見応え十分の一戦を本紙評論家・柏原純一氏はどう見たか――。

【柏原純一・烈眼】ソフトバンクにしたら不思議な勝ち、ロッテにしたら負けた気がしない試合だっただろう。ロッテは千賀にやられそうな雰囲気の流れを2回に安田の2ランで変えたが、短期決戦は一瞬のミスが負けに直結する。6回に守備の乱れで同点とされ、8回には甲斐のボテボテ内野安打で勝ち越しを許してしまった。クリーンヒットではなく、わけのわからないうちに点をとられてしまっている。これもソフトバンクの場数、経験の違いということだろう。

 先発の美馬は豊富な変化球でコントロールもよく、近めをまったく怖がらずに攻めていた。右打者にはシュートが悔い込んでスライダーが逃げる。左打者にはスライダーが食い込んでシュートが逃げるという風に、右と左をうまく対照的に攻めていていた。入ってくるボールというのは打者にとって邪魔なもの。この攻め方はとても面白いと思ったし、他のチームもソフトバンク攻略のヒントになるのではないか。

 そんなに球が速くなくても肝心なところで打たれない。指先から「ここに投げるぞ」というのが伝わってくるようで、途中までは100点満点の投球だった。柳田にはコースが甘く入って打たれたが、周東をまったく怖がらず、早く追い込めばヒットは出ないし、塁に出さなければ怖くないということだ。警戒する打者は柳田、グラシアルくらいと思うし、試合内容はロッテの方がよかったんだが…。

 ロッテは早くも崖っぷちに立たされた。第2戦の先発のチェンが両サイドに投げ分ける今日の美馬のような投球ができるか…。ストレートとチェンジアップではしんどいだろう。(本紙評論家)